紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」
細久手宿の大黒屋の元は、領主である尾州家の本陣として定められた問屋 酒井吉右衛門宅です。
大黒屋は安政5(1858)年の大火により類焼しましたが、翌年再建されたということですので、150年前の旅籠ということになります。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

両端にうだつが上がる2階建てで、玄関門は観音開きのどっしりした扉でした。玄関を入ると式台も設えてあり、さすがに格式があります。

あちこちの宿場を訪れてわかったのですが、昔は頻繁に火事があったようです。現代と違って消火設備も不十分でしたから、家が建ち並ぶ宿場となると、あっという間に燃え広がったことでしょう。
今なお残っている数少ない宿場は、そういう大火を免れた貴重な町並みといえます。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」


式台を上がってすぐの間には箱階段があり、見上げると吹き抜けになっています。箱階段はよく資料館などに展示されていますが、今も現役で使われていることには驚きです。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

通された部屋は、古い障子で廊下と隔てられているのですが、中はきれいに内装されたフローリングの部屋でした。ちょっとビックリしましたが、若女将さんの話ではかなり老朽化したので改装したとのことでした。
他の宿泊部屋は、当時のままでしたが、150年の歴史を維持するのは、やはりかなりのご苦労があるのだろうなあと思いました。
家族風呂のようなこじんまりしたお風呂に入り、テクテク歩いた疲れを癒した後は楽しみな夕食です。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

1階の上段の間で、山の幸、川の幸など心のこもったお料理をいただきました。特に私のお気に入りは鯉の飴炊き。甘辛くこっくりとした味付けで、大変おいしくいただきました。
お食事をとった上段の間は、かなり凝った造りの書院付きの座敷です。床の間や棚など当時の風情を残していました。
今夜の泊まり客は4人家族を含めて8人。
ひとり旅の方も何人かおられ、中山道を愛して街道をたどるファンも多いことがうかがわれます。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

宿の周辺は何もなく、静かな夜でした。
夜の旅籠もなかなか風情があり、江戸時代にタイムスリップした錯覚に陥りました。
特に、箱階段を上がった吹き抜けの小さな回廊は江戸時代そのまま。
薄暗い灯りによくマッチしていました。

昼間の二里半の心地よい疲れのためか、その夜はぐっすり眠れました。大変健康的かつ、健全です。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

翌朝、朝食の後、他の2階のお部屋も見せていただきました。
床の間には年季の入った床柱や棚、書院もあり、障子の腰板にはうっすら松が描かれたあとが見えます。
壁やふすまは修復が必要なところがありましたが、それには高額な費用がかかるんだろうなあと思いました。
残しながら、守るということは本当に難しいことだと思います。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

先代の女将さんの話では、明治時代に本線から外れたため宿場はさびれてしまったそうです。
その後一旦宿屋をやめていたようですが、近くで亜炭の鉱山が見つかり鉱山で働く人の宿泊所として復活。
しかし亜炭の需要もなくなり、鉱山も廃れその後のやりくりは大変だったろうと想像します。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

今も現役で旅籠として残されていることには、感謝したいほどです。
江戸時代の風情を残した旅籠が、どんどん少なくなっていると聞き、とても残念です。
文化財としての価値も高いので、保存のための公的な手を打ってほしいと思いますね。

紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

初めて泊まった旅籠ということで、わたしにとっては思い出に残る一泊でした。
また機会があれば、昔ながらの旅籠に泊まりたいと思っています。

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Re: 紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

お夕さん、お久しぶりです。私は最近の暑さに少々夏バテ気味ですが、お夕さんの「紋次郎道」はますます深くなって居て頭が下がります。

ひなびた雰囲気の「旅籠」の全景や黒光りのする柱、階段、調度品等は興味深い物ばかりです。

ところで素敵なブログを見つけまして、思わず久しぶりにコメントをしました。「ぶんぶんの千夜一夜物語」です。

http://iroribata.cocolog-nifty.com/blog/2010/08/post-8a75.html#comment-53874757

紋次郎の当時の単行本や挿絵が沢山紹介されてます。当時の物と思いますが綺麗な状態で保存されていて、感心しました。それだけ思い入れが強いのでしょうね。

  • 20100821
  • おみつ ♦aiP0wTO2
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Re: 紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

おみつさま、お久しゅうございます。
コメントをいただきありがとうございます。

早速ご紹介いただいたブログに飛んで行きました。
うれしいですね、あんなに紋次郎を大事にされているなんて……。

特に「怨念坂を……」の表紙、懐かしいです。
思い出しました、確かにあの絵です!
私が紛失したあの当時の本です。

それに比べて私ったら、ホントにどこにやったのやら……。情けない話です。

岩田専太郎さんの挿絵は、最高に格好良かったです。
孤高の紋次郎の姿に惚れ込みましたね。
女性を描かせたら、これまた愁いのある色っぽさ……。
画集もほしいですねえ。

紹介くださってありがとうございました。

夏バテ、早くよくなってくださいね。

  • 20100822
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

遂に紋次郎さんの軌跡をたどったのですね~^^さすがは、こっていますね!

まるで、タイムスリップして自分が素浪人でもなった気分で気持が良いものですね~^^
このような、文化財は、長く、保存して欲しいものです。文化庁さん!

  • 20100822
  • 荒野鷹虎 ♦-
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Re: 紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

鷹虎さま、コメントをいただきありがとうございます。

紋次郎さんは、こんな上等な旅籠には泊まりませんが、いい経験でした。
探すとまだあるようですが、年々少なくなっているようで寂しい限りです。

改装するにも修復するにも、先立つものは「お金」です。
文化財として価値あるものには、何らかの補助金が出てもいいと思うんですが……。

一度失われたものは、二度とよみがえりません。
宿場巡りをしていても、そう思いますね。

個人では解決できないことですから、国や自治体が乗り出すべきだと思います。

  • 20100822
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
  • 編集 ]
Re: 紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

これはこれは、まるで映画で時代ものを撮るセットのようですね。
実際に宿泊も営まれて、採算がとれるんだろうかと心配になります。
文化財でもなくってこれを維持していくのは大変でしょうね。
閑静な床につかれて夢で紋次郎との出会いはなかったんでしょうか?(笑)
夢には出てこづともお夕さんのイマジネーションは相当刺激を受けられたでしょうね。

私が一番好きな角度は
「宿の周辺は何もなく、静かな夜でした。」の上の階段の吹き抜けです。

いいですねー、このようなところで「鯉の飴炊き」を召しあがって・・・、
私もこうやって書いているだけでタイムスリップしてしまいそうです。

Re: 紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

こんにちは♪

先日は、ご来訪有難うございました。
会社のPCから、お昼休みにご挨拶をさせてい
ただきます。

「おみつ」さま、同様見事な「紋次郎ワールド」
を構築されていますね。
私も、昔「峠越え」にチャレンジした事があります。

木曾街道の「馬籠峠」(馬籠宿~妻籠宿)
「地蔵峠」(木曽福島~開田高原)
「鳥居峠」(薮原宿~奈良井宿)などです。

もちろん、旧街道を徒歩で歩きました。
記事を拝見し、懐かしく思い出しました。
有難うございました。

ご訪問が遅れて、申し訳ございませんでした。
「おみつ」さまの、ブログのコメント欄から、
なんとかたどり着きました(笑)
これからも、折をみて寄らせていただきます。

では、又♪

  • 20100826
  • ぶんぶん ♦KWOxclv.
  • URL
  • 編集 ]
Re: 紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

小父貴さま、コメントをいただきありがとうございます。
お返事が遅れまして申し訳ございません。

ホントに良心的なお宿代で、「これでいいんですか?」というぐらいです。
普通の旅館やホテルに飽きた方には、お勧めです。

残念ながら歩き疲れたせいか、夢一つ見ることなく熟睡してしまい、紋次郎さんの後ろ姿すらお目にかかれませんでした(笑)。

吹き抜けの階段や廊下を、着物姿の人が行き交うような錯覚に陥りそうでした。
今も写真を見る度に、風情ある佇まいが蘇ります。

多分私の記憶の中で、ずっと残ると思います。こういう思い出はお金では買えませんよね。

  • 20100826
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
  • 編集 ]
Re: 紋次郎の影を追う「旅籠 大黒屋」

ぶんぶんさま、遠路はるばるおいでいただき、ありがとうございます。
コメントもいただき、うれしいです。

たくさん「峠越え」をされたんですね。
健脚でいらっしゃるので、すごいなあと思います。

今は車で、あっという間に峠を越えてしまい、峠の存在も影が薄くなったような感じですね。
でも徒歩で越えた峠のことは、きっといつまでも心に残ると思います。

私も楽々と峠を越えて、紋次郎さんについて行けるよう、足腰を鍛えておかねばと思いました。

あばら屋ですが、またお暇なときは草鞋を脱いでください。
これからもよろしくお願いします。

  • 20100826
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
  • 編集 ]
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