紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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新木枯し紋次郎「新木枯し紋次郎」への道

「新木枯し紋次郎」への道

新木枯し紋次郎「新木枯し紋次郎」への道
紋次郎が三日月村を後にして、霧の向こうに去ってから4年半……。木枯し紋次郎は帰ってきた。

4年半という年月を、人は長いと感じるだろうか、それとも短いと感じるのだろうか。
当時の私は、紋次郎への想いからすると長すぎた。
多分、現時点の4年半なら短く感じただろう。流れる年月は歳を重ねるほど速く過ぎると感じるらしい。

紋次郎フリークとしては申し訳ないのだが、「新……」については「何で、今頃?」と思ってしまったことは確かだ。
この4年半の間に紋次郎も私自身も変わった。そして中村敦夫氏も変わった。
中村氏は紋次郎後、数々のドラマに出演。自身もプロダクションを設立、また家族も増え(未確認ですが、多分)、守るモノが増えた。

「木枯し紋次郎」の企画は、電通。中村氏を紋次郎にと市川監督に紹介したのは、電通のプロデューサー「松前洋一氏」。
広告代理店の電通は、テレビ局の市場拡大上、弱小局東京12チャンネル(現・テレビ東京)のテコ入れを画策。スポンサーの付きやすい目玉番組として「木枯し紋次郎」が選ばれたということである。
恩義ある電通からのオファーとあれば、なかなか断りにくい状況である。制作会社は電通系列のCALで、中村氏のプロダクションとも親交がある。

そしてもう一つ、私は中村氏の実験的な挑戦魂があったと思っている。
市川監督監修の紋次郎のすばらしさは、誰もが認めるところである。だがそれだけに、前シリーズ内では世界観を変えることができないという制約があっただろう。
今回は市川監督の冠はない。それだけに自由に作れる……中村氏の心が動いたのも頷ける。

制約と言えば、制作費と制作日数……。今回の制作費は1本が一千万強……5年前のフジテレビの半分以下だったという。これはかなりきつい。
「映像京都」の幹部は、仕事がない状態なので、労費を削り資材の都合をつけてでもしたいという回答。「映像京都」はその時期でも、やはり逼迫していたのだ。

監督選び、キャスティングなど問題は山積。俳優の送り迎えのため、中村氏は自費で中古のワゴン車を購入し、ハイヤー代わりに使ったという。自費というところに、彼の必死さがうかがえる。

「新木枯し紋次郎」への道

倹約の極みは、中村氏本人が脚本を書きメガホンをとるというところだろう。
そこで彼は、平均6日間はかかる撮影を、3日のロケで撮るという離れ業を編み出す。
山、川、森、田んぼを備えたロケ地を伏見で見つけ、移動なしで各シーンを撮るのである。交通費や移動費がカットできる。
経費削減という点では、「仕分け人」顔負けであろう。

効率よい作り方とはいえるが、俳優さんも実験的な試みで目を丸くしたのではないだろうか。どの演技がどれに繋がっているのか、わからないのである。
それがわかるのは監督だけである。
中村氏の頭の中はどうなっているのだろう。物事をあらゆる方向から関知し、3D的に組み立てる能力を備えていることに驚嘆する。
また彼には、市川監督のもとで撮影技術を身につけたという強みがある。彼はそれをラッキーだったと回顧しているが、きっと貪欲に吸収したのだろう。

中村氏が再び草鞋を履いてくれと頼まれたのが、その年の夏だったということだから、放映に至るまでの準備期間も短い。その短期間のうちに腹を決め、問題をクリアしていった彼の行動力はすばらしい。
また低予算にも関わらず、制作に協力する人々を集められたのは、彼の人徳と人脈、熱い情熱の賜物であろう。

こうして「新 木枯し紋次郎」は1977年10月5日、夜9時、東京12チャンネル(現・テレビ東京)で放映される。

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Re: 新木枯し紋次郎「新木枯し紋次郎」への道

Moin,Moin、お夕さん!、

「新木枯らし紋次郎」にはそんないきさつがあったのですかぁ~・・・、
この新シリーズはほとんど観てないので紋次郎さん、いや中村敦夫さんに
悪いことをしたなぁ~と今想っています。

大黒屋の内部のご紹介ありがとうございます。一度泊まってみたい宿です。
そして今日のこの滝はどちらなんでしょう?・・・

  • 20100831
  • 淡青 ♦pDmV/urE
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Re: 新木枯し紋次郎「新木枯し紋次郎」への道

淡青さま、コメントをいただきありがとうございます。

実は私も当時「新……」は、全回を観ておりませんでした。(敦夫さん、申し訳ございません)
やはり4年半のブランクというのは、大きかったようです。

今回の写真ですが、岐阜県の濁河温泉近くにある「小坂の滝」です。
「新……」のタイトルロールで、逆流する滝が出てくるんで、ちょっとイメージ画像として掲載しました。

2枚目の写真は、京都大覚寺の大沢の池です。
暑いんで、ちょっとでも涼しげな方がいいかと思いまして……。

お身体、ご自愛くださいね。

  • 20100831
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 新木枯し紋次郎「新木枯し紋次郎」への道

こんばんは。
今回の「新木枯らし紋次郎への道」題名が素敵ですね!
中村敦夫さんという人は外見の魅力だけではなく、体力、知力、精神力と、全てが揃った人だったんですね。
新木枯らし紋次郎は、それまでの彼の公私にわたっての人生経験を総動員、そして余すところなく発揮してできあがった作品だったんだなぁと感じました。
以前、女優の黒木瞳さんが「役が役者を選ぶのだ」とおっしゃっていましたが、今回の記事を拝見して、あらためて中村敦夫さんという役者さんは、間違いなく紋次郎に選ばれた人だと思いました。

  • 20100831
  • 百合子 ♦-
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Re: 新木枯し紋次郎「新木枯し紋次郎」への道

百合子さま、コメントをいただきありがとうございます。

本当に敦夫さんは「体力、知力、精神力」を兼ね備えた、まさに紋次郎そのものだと思います。
そして紋次郎にはないもの……「組織力」も身につけておられる。

その後の政治活動もそうですが、人を惹きつける人間的な魅力がある方だと思います。
波瀾万丈な人生を歩んで来られただけあって、懐が深い方です。

今後の俳優活動にも興味がありますが、著書の「暴風地帯」が未読なので読みたいと思っています。
このシリーズがもしドラマ化されるとしたら、やはり法舟さん(主人公)は敦夫さんでしょうねぇ。

  • 20100831
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 新木枯し紋次郎「新木枯し紋次郎」への道

そんなことがあったんですか!
記事を読みながら、勝手に現在のお話???
なんて思っていました(笑)

それにしてもお夕さんの心をそれだけ虜にしてしまう
ものは何なんでしょう?
羨ましいです。
打ち込めるものがあって!

私は中村敦夫氏が時々英語のせりふをしゃべったりしたテレビドラマの印象が心に残っているんですが、「暴風地帯」はテレビ化されたことはないのでしょうか?なんぼ探しても見つかりません。
山本陽子と共演していたような気がするんですが人違いでしょうか?どうもそれが何であったか気になっています。

Re: 新木枯し紋次郎「新木枯し紋次郎」への道

小父貴さま、コメントをいただきありがとうございます。

ご覧になったのは、もしかしたら1979年に毎日放送で放映された「不毛地帯」かもしれませんね。
敦夫さんは鮫島役で出演されていました。

「暴風地帯」は今年の3月に発刊されたばかりの推理小説です。
元捜査一課長で僧侶の「法舟」が、殺人犯を追い詰めるシリーズの2作目です。

環境問題と仏教哲学が盛り込まれた、新分野の推理小説ですので、もし機会があれば、お読みになってください。(というより、私が読まないといけないんですが)

当分、紋次郎さん熱は冷めないと思いますが、よろしければおつきあいくださいね。

  • 20100901
  • お夕 ♦wikz35BA
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