紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎「錆朱色の鞘」

日々紋次郎「錆朱色の鞘」

日々紋次郎「錆朱色の鞘」


「その渡世人は長身で、錆朱色の鞘を鉄環と鉄鐺で固めた長脇差がいかにも重そうであった。」

この錆朱色の鞘は、紋次郎兄貴のトレードマークのひとつでござんす。身につけているものはほとんど無彩色の中、この錆朱色の鞘がチラリと見えるところが、かっこいいんでござんすねえ。この色彩感覚の妙は、笹沢親分の感性のすばらしさと言えやしょう。本来ですと旅鴉の渡世人が、ひときわ目立つ錆朱色の鞘の長脇差を、腰に落とすことは考えられないようでござんす。
しかし、ここはフィクションの世界でござんすから、これでいいのだ!(そんなこと言ったら、口で楊枝があんなに飛ばせるかってことになりやす)

赤と黒のコントラストは、笹沢親分のお気に入りだったようで、身の回りのものにも赤と黒の配色がよく見られたようでござんす。
赤のさし色といえば、同時期に登場する「御子神の丈吉」。丈吉兄貴は恋女房の形見、赤いしごき帯を腰に巻き復讐の旅に出やす。

この配色で、まず頭に思い浮かべるのはスタンベールの「赤と黒」。
今から35~36年前に読んだ記憶がござんすが、あの主人公が辛気くさかったことしか覚えておりやせん(笑)。「赤は軍人、黒は聖職者」を象徴しているとか。
さしずめ紋次郎兄貴で言いやすと、赤は血の色であり生であり兄貴の本来の心根。
黒は暗い過去であり死であり、裏切りに満ちた世間を表しているんござんしょうか。

さてここで、未だに釈然としねぇことがござんす。
あっしが高校生の頃、あるレポートを提出した際「錆朱色」と言う文言を記述したところ、国語担当の先生が「?」のマーク書いて添削されやした。
「錆朱色」という表現は存在しないとでも言うような素振りに、あっしは立腹いたしやしたねぇ。
しかしながら、紋次郎の小説を手にして抗議に向かう勇気はなく、素人衆における「錆朱色」の認知度の低さを思い知りやした。

そしてもう一つ、長脇差の刀身は何回か替えられているでしょうが、鞘はどうだったかということでござんす。いくら頑丈な造りとはいえ、鞘を使った攻防もかなりありやしたんで、相当傷みがあったかと思いやす。何度か取り替えているんでござんしょうか。
「錆朱色の鞘」と限定して手に入れることは容易だったのか……それも、刀身の長さや反りにぴったりでないといけやせん。

などと、いろいろ考えていると想いは千々に乱れ……そろそろ「元の鞘に収まる」ほうがよござんすかねぇ(笑)。

へい、御免なすって。

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この記事へのコメント

Re: 日々紋次郎「錆朱色の鞘」

ちょうど夕べ、初期股旅小説を読んだところでした。
それぞれの主人公、特徴が幾つかは共通しても、完全に一致しないんですよね。
「長身 頬がこけ 青白い顔 錆朱色の鞘」の紋次郎。
「長身 頬がこけ 青白い顔 朱色の鞘」の三筋の仙太郎。
「長身 頬がこけ 青黒い顔 黒色の鞘」の小仏の新三郎。
鳴神の伊三郎は、体型についての描写は無いのですが、紋次郎と同じ錆朱色の鞘でした。

私らの年代の者が子供の頃といえば、「おとこ色」「おんな色」というのが決まっており、男の子は赤やオレンジ色のものを身につけてはいけないという、変な決まりがありましたよね。
男の子が学校へ、うっかりエビ茶色のセーターでも着ていこうものなら、「わ~~!こいつ女や~~!」と言われたものです。(経験者は語る)

笹沢さんも戦前の生まれだから、「男は赤いものを身につけてはいけない」という環境に置かれていたと思います。
時代も変わり、昔の変な価値観への対抗心から、部分的に「おんな色」を纏った主人公を登場させたのかもしれませんね。

  • 20120408
  • TOKI ♦nhNJg39g
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Re: 日々紋次郎「錆朱色の鞘」

TOKIさま、コメントをいただきありがとうございます。

笹沢作品に出てくる渡世人のほとんどは、スリムな体型で長身ですよね。そして、頬はこけていないといけません。
基本、シルエットの美しさが大事です。

勢揃いしたら、ウルトラ兄弟みたいで(笑)かっこいいでしょうね!しかし最強はやはり紋次郎サンだと思います。

「おとこ色」「おんな色」……ありました、ありました!
私はどちらかというと、「おとこ色」の方が昔から好きでした。
今はピンクが似合う男性が、たくさんいますよね。
人は、異性が好む色を身につけるといいますから、男っぽい紋次郎に、女が好む赤を身につけさせたのかもしれません。

色が持つ力や、色からのイマジネーションは大きいと思います。

  • 20120409
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「錆朱色の鞘」

こんばんは♪

日本の色には情緒のある表現が多いですよね。
赤だけでも「蘇芳色」「猩々緋」「真朱」なんて
ちょっと読めない漢字もあります。
「すおう」「しょうじょうひ」「まそほ」なんて
・・・

本来の色を灰色でくすませたものを「錆納戸」とか
「錆浅葱」「錆桔梗」「錆鼠」などと呼んだそうですね。
「錆朱」もそうですね。

「銀鼠」とか「甕覗」なんて使わなくなりましたね。
「色の日本語いろいろ辞典」なる本が手元にあり、
読むと言葉としての色の表現が豊かになります。

そうそう、「浅葱裏」という表現もありますね。
では、又♪

Re: 日々紋次郎「錆朱色の鞘」

「錆朱」で画像検索したら、鮮やかな朱色のものから、くすんだ柿色、エンジっぽい色、普通の茶色まで出てきて、どれが正しいのかわからなくなりました。
笹沢さんはどの程度のものを意識したのでしょう?

喜連川の八蔵は「長身 頬がこけ 青白い顔」ですが、「鞘は、朱色でござんした。木枯し紋次郎の長脇差の鞘は、錆朱色をしていなきゃならねえんで…」とのことでした。
そこから考えたら、朱色とも呼べるような錆朱色ではない、ということですね。

>スリムな体型で長身ですよね。そして、頬はこけていないといけません。

うう…
若い頃なら三階級制覇できていたものを。
オフ会があるなら、メタボが入る前にやって欲しかった…(笑)

  • 20120409
  • TOKI ♦nhNJg39g
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Re: 日々紋次郎「錆朱色の鞘」

お夕さん、お邪魔致しやす。
昨日丁度、何周目かの原作読みで第十二巻の『雷神が二度吼えた』を読み終えた所でした。白鞘の名刀“志津三郎兼氏”がその後ちゃんと、紋次郎の錆朱色の鞘に収まったのかどうかが気になっていたので(『一里塚の風を断つ』の直光作の刀は、長さも反り具合もぴったりだったようですが)
私も少年時代、『赤い』からという理由だけでで、ファンでもない広島カープの野球帽をかぶっていました(父親の度の過ぎた特訓のおかげで野球が大嫌いになりましたが、今思うと、赤い帽子はそれを隠す為のものだったかもしれない・・と今ふと思いました。赤は自分にとって『反発』を示す色なのかもしれません)

『おとこ色・おんな色』・・・もうそんなものはとっくに消滅してると思ってましたが、今だにそれはあるようで。
先日小学生の甥っ子(性格も顔も自分にかなり似ています)が、肩の部分が赤いベストを学校に着ていったら、同級生にからかわれたそうで。でも自分は赤が好きだからと無視した・・と言う話を聞いて、なんだかちょっと懐かしいような、複雑な気分になりました(笑)

Re: 日々紋次郎「錆朱色の鞘」

どこかのだれかさん、(どなたなのかは、大体わかりますが……笑)コメントをいただきありがとうございます。

私も日本の色の名前を、ネットで調べてみました。本当にたくさん名前があって、興味深かったです。

日本人の、色に対する繊細な感覚には驚きました。
粋な名前が多いですよね。

鼠が出てくる名前だけでもいろいろあって、見ていても飽きません。

「錆朱色」から気づいた、日本の色の奥深さ……。
どんなことでも興味を持つと、世界が広がりますね。

  • 20120410
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「錆朱色の鞘」

TOKIさま、コメントをいただきありがとうございます。

「朱色」と「錆朱色」の微妙な違いは、どこで線引きされているのでしょう。
そういえば、私たちも漠然と色の名前を使っていますよね。
人によって、それぞれ微妙に色彩感覚もちがいますしね。

自然の中から生まれた色というものは、その国の風土と関係していますから、研究すると面白いでしょうね。

若い頃、三階級制覇されたことは、特筆すべき事だと思いますよ。
私なんかは、これまでも、そしてこれからも、絶対あり得ないことです(笑)。

  • 20120410
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「錆朱色の鞘」

ケンシロウさま、コメントをいただきありがとうございます。

テレビ版では、「志津三郎兼氏」の白鞘を投げ捨ててますので、鞘には収まったようです。原作では、ハッキリ書かれていませんのでわかりません。

刀身は、鞘の中では宙に浮いているわけで、(どこかに触れると刃がこぼれますもんね)少しでも反りが合わないと用を成さないものです。
専門的なことはわかりませんが、ピッタリ合うことは、なかなか難しいのではないかと思います。

色にまつわるお話は、どなたにもありそうですね。

さし色に、赤を使うのは結構好きです。
最近買った仕事用のバッグは、黒地に赤のラインが入っています。
最近まで使っていたレザーの手袋は、深い赤色でした。

ところで、ケンシロウさんは今でも、赤がお好きでいらっしゃいますか?

  • 20120410
  • お夕 ♦wikz35BA
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