紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)
この椋本宿に江戸年間より旅籠を営んでいる「角屋旅館」があります。まさに宿場の枡形である角地に位置していますので角屋……わかりやすいネーミングです。
紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

なんと当日予約でしたが、宿泊させていただけました。(大体、急に思い立つんですよね)

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

お伊勢詣りの庶民が宿泊した旅籠で、参宮講の古い講社札がたくさん掲げられていて興味深かったです。坪庭がいくつか配されていて、朝夕は涼風がよく通りました。

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

ここから歩いて5分のところに、地名の元になった椋の大樹があります。樹齢1500年とも言われるりっぱな巨木です。

私はちょっと思い違いをしていて、紋次郎一行は椋本宿に入ったかと思ったのですが、入る手前で伊勢別街道を西にそれています。そして、伊賀街道に通じる道の分岐点にある「八幡宮」で仮眠をとります。

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

椋本宿の旅籠「角屋」の女将さんに、近くに八幡宮はないかと尋ねたのですが、首をひねられて「椋本神社」なら近くにありますよ、と教えてくださいました。
紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

原作では「鎮守の森」「杉林」などと書かれていて、雰囲気的にはこの神社とも良く似ているので「良し」とします。

この辺りでどうも紋次郎サンの影を見失ってしまったようです。なんともはや……。

この後一行は、「伊賀街道」を進み長野峠を越えて、おせんの嫁ぎ先だった「大山田」へ向かいます。「伊賀街道」……なかなか渋い響きのある街道です。

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

日を改めて、大山田を訪れました。
田園風景が広がるのどかなところですが、「大山田温泉」が湧出し、大きな日帰り温泉施設があります。なんとかしてタイトル通りの「夕映え」を撮影したかったのですが、あいにくの曇り空のため断念し温泉にお邪魔しました。「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉」ということで、いわゆる「美人の湯」。お肌がしっとりする湯上がりでした。

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

紋次郎はこの大山田村で、おせんの舅に「刻み煙草」を手渡しに行きますが、拒絶されます。仕方なくおせんが待つ雑木林に戻りますが、そのときは既に遅く、哀れ小平太に斬られ瀕死となっています。紋次郎は、おせんの金を狙った卑怯な小平太を斬り捨てます。今際の際で頼まれたおせんの十五両を、母が住む曾根村まで届けに行く紋次郎は、途中で花嫁行列を目にします。この地に伝わる婚姻習俗で、夕映えの中を進む花嫁行列と、死んだおせんの姿とを紋次郎は心の中で重ね合わせます。
この件は、叙情的で切ない場面です。

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

夕焼けは見えなかったのですが、田圃の藁を焼く炎と青白い煙が見えました。紋次郎が、線香代わりに刻み煙草を燃やした情景とオーバーラップして、しんみりしました。
この後紋次郎は、ひたすら山道を登り、「蝙蝠峠」を越えます。現在の「蝙蝠峠」は、亀山市と伊賀市との境界線になっています。

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

どこかに「蝙蝠峠」と書いた案内でもあるか、と探しましたが見当たらず、この辺かな?と思った所で山中の写真を撮りました。
峠の名前に相応しく寂しい山中で、行き交う車もほとんど無い状態です。いくつかのヘアピンカーブが続き、ドリフトの痕が見られます。

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

この峠を紋次郎は、十五両を届けにおせんの母親の元に急いだのです。

この話、紋次郎が長脇差を抜いた相手は、たった一人でした。

紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

派手なアクションや、アッと驚くドンデン返しもない展開でしたが、味わいのある作品だったと思います。紋次郎シリーズでの終盤となる作品で、情感溢れる雰囲気がありました。

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Re: 紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

今回、お世辞や社交辞令じゃなしに、「お夕さんってすごいなあ」と改めて感じました。

私もこの原作で、「大山田」「蝙蝠峠」の文字に反応しました。
が、どちらも何回も通って現在の風景を先に知っており、小説に出てきたからもう一度行って感慨に浸ろう、という気にはそれほどなれなかったのです。
それが、お夕さんの文章と写真を見たら、「やはりあそこに紋次郎が来たんだ。紋次郎が見た風景はこうだったんだ。」と思えるように変わりました。

また、これにドンデン返しが無いことは、お夕さんに言われるまで気付きませんでした。
あらためて考えたら、晩年の原作にはそういうのが結構有ったんですね。
私は、「死出の山越え」が、未知の登場人物がラストに出てくるというので、「そいつはこれまで出てきた誰と関係が有るのだろう?」と勝手に想像したものの、何も無かったので、それしかはっきりわかりませんでした。

「伊賀越え」が出てきてましたが、奈良テレビ放送ではこの名前の漬物のCMをしょっちゅう流しているので、奈良県人はこの文字を見るとまずこっちが浮かんでくるのです。
瓜の中に具を詰めて溜り醤油に漬けたものでとても美味しく、原作を読んでいてお茶漬が食べたくなった、という。(笑)
それにしても市町村合併で、原作の大山田村は私の居住地の隣の市になったので、「もう少し足を伸ばしてくれたら…」などと悔しがってます。

煙草が話に出てきますが、ヘビースモーカーの私が個人的に気になってるのは、紋次郎さんがいつタバコをやめたのか、です。
原作では「流れ舟」で煙管を取り出し、TV版でも「甲州路」で煙草入れを差し出し、その後も第一シーズン中期までは腰に煙草入れを提げていました。
けど原作ではあれ一度きりで、TV版の煙草入れも、いつしか見なくなりました。
紋次郎が嗜好品にお金を使うのはおかしい、という声でもあったのでしょうか。
紋次郎さんに倣ってか、腰にパイプタバコ一式を提げてツーリングに行く私ですが、禁煙は真似できませんなあ。(苦笑)

  • 20121022
  • TOKI ♦nhNJg39g
  • URL
  • 編集 ]
Re: 紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

TOKIさま、コメントをいただきありがとうございます。

私は、笹沢氏の臨場感あふれる風景記述が、いつもすごいなあと思います。多分、地図や五街道細見などを参考にして書いておられたんでしょうが、想像の部分がかなり多かったと思います。
しかしその部分を読むと、本当に目の前に風景が広がっているように感じてしまう……さすが、プロ作家の仕事だと思います。

それを検証するわけではありませんが、原作に書かれている地名には反応して行ってみたくなる……。フィクションなのに、紋次郎はやはり存在しているんです。
しかし、今は当時を彷彿とさせるものはほとんど残っていないので、自ずと神社仏閣に足を向けてしまいます。
中でも、「村の鎮守さま」なんかは、かなり昔から変わっていないと思いますので、興味が沸きます。
「ここで野宿したのかなあ」とか、「敵と戦うならここが使える」とか、全く信心がなくて申し訳ないくらいです。

煙草の件は、私もハッキリわかりません。小道具の方に教えていただきたいぐらいです。
当のご本人敦夫さんも、あまり記憶にはないような発言をされていたと思います。
嗜好品ではありますが、当時の喫煙率はどうだったんでしょうね。
もっとも、楊枝を咥えながら煙管は使えないでしょうが……(笑)。

  • 20121023
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
  • 編集 ]
廃業されました

三重県津市芸濃町椋本の角屋旅館は、平成25年12月に廃業されました。

  • 20160309
  • まるごとみえ ♦-
  • URL
  • 編集 ]
Re: 紋次郎の影を追う 「夕映えの嫁入り」(後編)

まるごとみえさま、コメントをいただきありがとうございます。

そうですか……。
おやめになったんですか。
情緒のあるお宿だったんですけど、残念です。
寂しいかぎりです。

お知らせいただき、ありがとうございました。

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