紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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「帰って来た木枯し紋次郎」(1993年)その五

「帰って来た木枯し紋次郎」(1993年)その五

「帰って来た木枯し紋次郎」(1993年)その五
ここで、小平次の行き先の上州の説明がナレーションされる。上州は絹の産地で、農家は養蚕と絹織物を生業としている。蚕が桑の葉を食べたり、蚕棚の世話をする様子、蚕の繭から糸を繰る映像などが映し出される。老婆や幼子が糸を繰る作業は、当時の様子をしっかり再現していて、まるでドキュメンタリー。歴史学習の教材にでも使えそうである(笑)。これだけ本格的な糸取りの様子をセッティングするには、かなりの労力が必要だと想像する。
上州は絹市が立ち、売り買いする人で賑わう、金が良く動く土地柄であった。そのため昔から、大物渡世人を多く輩出している土地でもある。

その市を取り仕切る親分が、木崎の五郎蔵なのである。五郎蔵の子分の「丑松」が、地元の蚕を飼う農夫に話をしている。どうも、後30人ほど人手を集めるようにとの五郎蔵の指図らしい。人を集めて何をしようとしているのか。

子分から「怖いお人なんだ。」と言われる五郎蔵役に「岸部一徳さん」。いわゆる強面の表面的な怖さではなく、得体の知れない怖さを表現できる俳優さんである。
一徳さん……それにしても眉毛が濃すぎます(笑)。
この五郎蔵さん、今で言うマザコン。病床に伏している母親の看病には余念がなく、実に手厚い対応である。このまた母親が、外見に似合わず強気の物言い。
自分の看病は「お真知」にさせるべきだと言い、
「あの娘にいつまでもたもたしてるんだい。昔の親分の娘だからって気兼ねはいらないよ。さっさと抱くなりなんなりして、祝言あげちまいなよ。」

こんなちっちゃい婆さんが、こんなことを息子に言うんだ……と意外な設定である。
母親に頭が上がらない……といえば、「女郎蜘蛛が泥に這う」であろう。あの老女、お甲の悪女ぶりもかなりのものであった。

「お真知」という名前が出て、インサート・ショットが入る。井戸からつるべで水を汲む、水の入ったかわらけとチラリと見える女の姿……お真知がどんな女なのかを暗示している。

桐生の絹問屋の旦那衆が三人、五郎蔵を訪ねてくる。法外な運上金が商売人に課されるというお達しが代官所から来た、というのだ。
「早く親分に例のことを起こしてもらわないと……」
「頭数は三千では少ない、五千は集めないと……」と、旦那衆は話す。
五郎蔵は、それはいただく金次第で……と答える。

旦那衆の一人、富岡屋惣左衛門役に「神山茂さん」。重厚な役者さんで、存在感がある。私の年代であれば「ザ・ガードマン」が思い出される。端役のはずがないので、展開上重要な役回りと想像できる。
どうもこの密談では、人を集めて何かを起こそうとしているようである。どちらにしても、紋次郎には全く関わりのない話が、淡々と続く。
しかし小平次が、大きな仕事と言っていたことと関連があることは確かだし、五郎蔵の人となりが垣間見える展開ではある。

「帰って来た木枯し紋次郎」(1993年)その五

「お真知」の顔がかわらけの水に映る。「坂口良子さん」である。
坂口さんは1976年の「犬神家の一族」から毎年のように、金田一シリーズで市川監督に起用されている。しかしもっぱら脇役であったのだが、今回は唯一のヒロインである。どちらかというと、今まではアイドル的な存在だったが、今回はもう38歳……。円熟の域に入る年頃である。

しかし、今回のヒロインがなぜ坂口良子さんだったのだろう。清純派女優という雰囲気があり、時代劇……それもヤクザ世界に生きる女という設定に、このキャスティングはどうなのだろうか、と疑問に思うところである。本来なら、粋な感じのするミステリアスな女優を起用するところを、敢えてギャップを狙ったか。

真剣な面持ちで水面を覗き込み、そっと竹串のようなものを水面に浮かべる。竹串か、長楊枝か……紋次郎と何か関係が?

そこへ五郎蔵が来る。「また占っているのか?」と尋ねるが、お真知は占いではない、水に映し出される実相を見通しているだけだと答える。
五郎蔵はフフンと笑い「お真知……おめぇ……今夜……」と声をかけている最中に、子分達がドヤドヤと入ってくる。多分五郎蔵は母親にけしかけられて、「今夜、おれの部屋に来い」と、一大決心をして言うはずだったのだろう。どうもこの五郎蔵さん、恋愛に関しては臆病者のようである(笑)。

子分が、渋川村で八百人が集まった……と報告に来たのである。子分たちはお真知の持つ能力「天眼通」について、褒めそやす。ここで初めて「実相を見通す」と言っていた力が「天眼通」なるものだということがわかる。
「天眼通」……ネットで調べてみた。「てんげんつう」ともいうもので、「仏語。六神通の一。普通の人の見ることのできない事象を自由自在に見通すことのできる力。」とある。(goo辞書より)いわゆる神通力の一つのようである。

ストーリー展開で、神がかり的な「天眼通」が出てきたのは正直、違和感がある。お真知が天眼通を操るという設定を、誰が考えたのだろう。何となく、「金田一」臭を感じるのは、私だけだろうか。

竹串がグルグル回る。なんだかなあ……と思ってしまうが、お真知は、「西から紋次郎が来る!」と予見する。
しかしピンポイントで見えるものなんだなあ、と思ってしまう。五郎蔵は、紋次郎は5年前に野尻の崖から木曽川に落ちて死んだはずだと、お真知の言うことを信じない。
紋次郎とお真知と五郎蔵の関係は如何に……?5年前に、何があったのか。

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Re: 日々紋次郎「帰って来た木枯し紋次郎」(1993年)その五

話が関係無くてすみませんがが、甲子園は一日間違ったようでしたね^^。次の日ならよかったですねー。!
今日から愈々、関ヶ原ですねー。歴史と違い三成軍が勝ってほしいですねー。

  • 20130715
  • 荒野鷹虎 ♦-
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Re: 日々紋次郎「帰って来た木枯し紋次郎」(1993年)その五

今回、自然描写のみならず、室内のライティングも印象的です。
暗い室内で、人物の顔に横から当たる光がカラヴァッジョの絵のようで。
また、灯りのない部屋での、窓や板の隙間からの外光のフレアも美しいです。

岸部一徳さんの五郎蔵親分、いい味出してるんですよね。
よく有る、鬼瓦みたいな顔をした悪親分と違い、長身でスマート。
親孝行で物腰も柔らかく。

のそ~~と佇み、ぽけ~~とした顔をしながら平然とえげつないことをする岸部五郎蔵を見て、私は「めぞん一刻」の四谷さんを連想しました。
後年、めぞん一刻が実写ドラマになった時、本当に岸部一徳さんが四谷さんの役で出ており、笑ってしまいました。
富士通パソコンのCMといい、この人、こういう役柄は得意なんですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Fj8bNgOP9rk

神山繁さん、私も榊ガードマンを思い出したクチです。
ラストでよく、他のガードマンから頭髪の薄さを言われてましたよね。(笑)

天眼通ですが、私はこの段階ではべつに違和感無く見ておりました。
で、もう少しストーリーが進んでから、ツッコミ倒しました。(笑)

  • 20130715
  • TOKI ♦nhNJg39g
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Re: 日々紋次郎「帰って来た木枯し紋次郎」(1993年)その五

鷹虎さま、コメントをいただきありがとうございます。

ホントに、一日違いで、大違いでした(笑)。
ただ、あの日の甲子園は涼しくて、夕涼みにはうってつけでした。(単なる負け惜しみですが)

今夜は残念でした。巨人軍もそうそう負けてはいられませんものね。
気を取り直して、明日を期待します。

  • 20130715
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「帰って来た木枯し紋次郎」(1993年)その五

TOKIさま、コメントをいただきありがとうございます。

次の記事原稿を、お読みになったのではと思うほど、同じことを感じておられるので、びっくりしています。
ただ私は、カラヴァッジョではなくレンブラントかな?と思ったんですが……(笑)。カラヴァッジョの作品も、ドラマチックで好きです。

静止画像で見ると、名画を観ているようなライティングですよね。美的センスの良さは、20年前と比べ、より洗練されているように感じます。

一徳さんの起用は、成功だと思います。
のそ~っとした一徳さんと、いかにも切れ者ですばしこい尾藤イサオさんとの対比がなかなか面白いです。
そういえばこのお二人、共にスタートは歌手からでしたね。

「天眼通」のツッコミ部分……私も思うところがあるのですが、ビンゴとなるでしょうか(笑)。

  • 20130715
  • お夕 ♦wikz35BA
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