紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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"紋cafe"でいっぷく「新むつ旅館に泊まる」



"紋cafe"でいっぷく「新むつ旅館に泊まる」
作品中で、紋次郎が流離った最北端は、青森県の八戸。もっとも、この地へ足を踏み入れたのは自分の意志ではなく、自然災害のなせる業……台風による船の難破のためですが……。

「奥州路・七日の疾走」
旧暦七月初旬に、清水港を出港した千石船上の紋次郎。銚子まで行くはずでしたが台風に見舞われ、荒波の中、六日間漂流します。結局船は岩礁に激突し沈没。その漂着した地が、八戸だったのです。



この夏、私にとっても初めての青森行きが実現しました。
青森には、特徴ある温泉がたくさんあります。また海の幸にも恵まれ、旅の楽しみは尽きることがありません。

しかし紋次郎を追う私にとって、まず見ておきたいのは八戸の海です。訪れた日は薄曇りでしたので、青い海ではありませんでしたが、荒々しい岩礁に白波が打ちつける景色が見られました。紋次郎が上陸したのは、八戸のどこだったのだろうかと思いをはせながら眺めました。



さて、もう一つ楽しみにしていたのが「新むつ旅館」です。
八戸にあるこの旅館の創建は明治31年。翌年の明治32年「新陸奥楼」として創業された遊郭でしたが、昭和32年の売春防止法制定に伴い、旅館へと転業しました。
この旅館が建つ小中野の最盛期には、遊郭が33軒もあり、芸者は120人娼妓は300人もいたと言われています。しかし今はその面影はほとんどありません。実際、訪ねたときも「えっ?どうしてこんなところに?」と驚いたほどです。



入口は「唐破風」の様式。あとで女将から聞いたのですが、創業当時は唐破風ではなく、戦後に造り替えられたということで、女将は創業当時に戻したいようです。しかし、この唐破風は堂々としていて、私はいい感じだと思うのですが……。唐破風を設えた古い建物は、他にも結構見ることができたので調べてみると、寺社、城郭、役所、山車の屋形の屋根装飾などに使われているとのこと……。そして妓楼の出入り口や屋根の装飾……云々とありました。ある意味、格付けの意味合いもあったのかもしれません。





外観は木造二階建て、道に面して立派な格子窓があります。装飾として趣向が凝らされたものが見てとれ、往時の繁栄ぶりが想像できます。


玄関を入ると板の間の帳場があり、明かり取りの天窓からやわらかい光が差し込んでいます。



上がって右手には、堂々たる風格の階段。洋風と和風を融合したような意匠が施されています。



Y字型の階段は二階の空中廊下と回廊に続きます。以前、細久手宿の旅籠、大黒屋さんにもありましたが、こちらはかなりの大規模です。



回廊の周りに和室が並んで配置されています。

二間続きの広いお部屋に通されましたが、宿泊客が多い時はふすまで仕切られたのでしょう。



開け放たれたそれぞれの部屋は、どれも趣向が凝らされていてすばらしいものでした。

女将さんは気風のよい方だと思ったら、なんと江戸っ子だと話してくださいました。道理で……と納得。

夕食を終えて就寝……エアコンがないこともあり少し寝苦しく、夜中に目が覚めてしまいました。することもないので部屋を出て、夜の写真を撮ることにしました。





これがまた雰囲気がよく、往時を彷彿させる味わいがありました。遊女がしどけなく階段を下りてくる様を想像しながら、しばらく時を過ごしました。

翌朝は近くの朝市に出向き、そこで朝食をとりました。その後、女将とひとしきりお喋りをし、貴重な「遊客名簿」も見せていただきました。



この名簿には遊客の住所、氏名、年齢、容貌(身の丈や眼鏡のあるなし、顔立ちなど)、相手の娼妓の名前、何時に登楼して何時に帰ったか、玉代の金額などが書かれています。この名簿への記入は、義務づけられていましたので、しっかりと書かなければならなかったようです。どのページも達筆で記入されていて、興味深かったです。
登楼するのは大体夜の十時から十一時。楼を出るのは夜明け前の四時から五時にかけての時間帯……いわゆる朝帰りということですね。

女将さんの話では、この旅館の後継者がいないということで、存続が心配です。
2007年に国の登録有形文化財に指定され、約120年の年月を重ねた木造の建築物ですので、あちこちと修復が必要で、大変ご苦労されているご様子でした。今は玄関先を修復したいとおっしゃっていました。「私の楽しみは、次はどこを直そうかと考えること。」と明るく話す女将さんの屈託のない笑顔が印象的でした。



いつまでもお元気で、この旅館を愛する旅人を迎えてくださることをお祈りいたします。


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Re: ご無沙汰しております

なんとタイムスリットしたみたいな旅館ですねっ、
いいご旅行をされましたようでよかったです。

東北は東京での教師時代に引率でいき、十和田湖へ
流れる奥入瀬川を歩いたことが思い出されます。

それより長期間更新がされておられませんので、
ご病気でないかと案じています。

  • 20150923
  • 淡青 ♦ymvj13YY
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  • 編集 ]

淡青さま、コメントをいただきありがとうございます。

本当に夢のような奇跡の旅館でした。よくぞ残してくださった、という思いです。
奥入瀬も行きましたよ。清流と、木々の緑の深さが印象的でした。

更新ができず、ご心配をおかけしています。申し訳ないです。
至って元気です。ただ単に更新をさぼっているだけですので……(笑)。

淡青さまも、お元気にお過ごしください。

  • 20150924
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
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Re:

お夕さん、うれしいお返事ありがとうございました。
今回は京都滞在が長くなるので、滋賀の方も廻ってみようと
思っておりましたので、渡りに舟でうれしいものです。
11月のどの週末がいいかはお夕さんのご都合にあわせます
メールしましょうと書いたのですが、知らないことに気づきました、
恐れ入りますが再度鍵コメで お知らせくださいませんか、

  • 20150927
  • 淡青 ♦vMjpPURI
  • URL
  • 編集 ]
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