紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎 「雨と紋次郎」

日々紋次郎 「雨と紋次郎」

日々紋次郎 「雨と紋次郎」
今年はいつになく雨が多いようでござんす。当たりめえのことでござんしょうが、お天道さんを拝める日も少なくお百姓の皆さんは、さぞご心配なことと存知やす。世が世なら、飢饉が起こっていたかもしれやせん。
自然現象ですんで仕方ありやせんが、雨の日は紋次郎作品の雨のシーンを鑑賞するのが一番でござんすねえ。

まずは記念すべき第1話「川留めの水は濁った」
なんで川留めになったか。当たりめえでござんすが、大雨になったからでござんす。初っ端から雨でござんす。
昔の旅人は川留めには大弱りだったそうで、足留めされているうちに路銀が底をついてスッカラカンになって泣く泣く家路を辿ったお人もいたとか……。いまならATMで、カードでさっと路銀を出せやすが、昔の旅人は大変でござんしたねえ。
この作品は間引きされそうになった紋次郎兄貴を救う姉、「お光」さんの話が出てきやす。この回で紋次郎兄貴の宿命が色濃く提示される訳でござんす。

第2話「地蔵峠の雨に消える」
雨のシーンでは傑作中の傑作だと思いやす。あの篠突く雨の中の殺陣は絶品でござんしょう。
地蔵峠の名前の由来は、峠の中腹に百地蔵があるからと千代が話して聞かせやす。
「小さなお地蔵様がたくさん、いつの頃からか並んでましてね」
全国あちこちに地蔵峠はございやすが、いつの頃からかたくさん、と言われて頭に浮かびやすのはやはり「間引地蔵」でござんしょう。一体一体と亡くなった赤子の数だけ、地蔵がいつの間にか増えていったのかも知れやせん。

第5話「童唄を雨に流せ」
テーマは言わずと知れた「間引き」でござんす。最近リメイクされやした「江口紋次郎」でも雨の中での殺陣がござんしたねえ。

第19話「馬子唄に命を託した」
第2シーズンの初回ということもあり、音松が殺されるシーンはドラマオリジナルでござんす。市川映像のオマージュということで、この雨のシーンを入れたかと思いやす。驟雨の中、無抵抗のまま許嫁と母親の目の前で殺される音松の無惨な姿は印象的でござんした。

第20話「暁の追分に立つ」
突然の大雨のため、大木の下で雨宿りをする紋次郎兄貴とお清。この後、お清は身重であることが、わかりやす。

第23話「夜泣石は霧に濡れた」
「間引き」とコンニャク、幼馴染みがテーマとなった作品でござんす。3日間の空腹をまぎらわせるために、空に向かって口を開け、雨を飲み込む紋次郎兄貴の姿は印象的でござんした。田んぼのぬかるみの中、泥だらけで敵と対峙するシーンも思い浮かびやす。

第38話「上州新田郡三日月村」
故郷近くで雨が降り、落雷のため紋次郎兄貴は気を失いやす。ラストに紋次郎兄貴が、倒れた地蔵様を一体一体起こすシーンに、じーんときやした。

日々紋次郎 「雨と紋次郎」

ざっと思い出した作品だけでござんすが、結構ありやす。ロケが多い中雨を降らせるのは、かなりの手間と費用がかかったんじゃねえんですかい。
さて改めて見てみやすと、何となく共通点があるように感じやす。それは、「間引き」とリンクしている作品が多いということでござんす。
この世に生を受けるはずだったのに、縁がなかった子どものことを「水子」と呼びやす。それと水……雨と関係するのかはわかりやせんが、割合が高いように思いやす。
シリーズの中でこんなにたくさん雨のシーンを取り入れた時代劇ってのは、あんまりねえように思いやすがいかがなもんでござんしょう。
時代劇といえば勧善懲悪、天晴れ天晴れ、めでたしめでたしが多かった当時(いや今でも)は、主人公は青空の下にいるべきだったんでござんしょうが、「木枯し紋次郎」は明らかに違いやした。
お蔭であっしは雨空や、陰鬱にたれ込めた曇り空も大好きでござんす。もちろん夕景や霧に煙る景色も大好き……ってどんな日でも好きってことになりやすんで。とにかく底抜けに明るいだけの映像は、嘘くさく感じるようになってしまいやした。
どんな日であろうと想像一つで、紋次郎兄貴に出会えそうなシチュエーションが生まれる訳でござんすから、有り難いことでござんす。
この映像美を知ることで何倍も自然や風景を楽しめることになり、お得感がいっぱいでござんす。

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Re: 日々紋次郎 「雨と紋次郎」

お夕様。こんばんは。
紋次郎と雨。私も以前からとても興味を持っていました。紋次郎では今までの作品とかなり様相が違った所が多々ありますが、この「雨」のシーンもかなり多いと感じていました。お夕様のご指摘の通り、雨はどちらかと言えば、他の作品では敬遠されていますものね。
地蔵峠の雨に消える。では比叡山でのロケで4日間曇り待ちしたそうですものね。さすがに快晴では雨は降らせられないですよね。手間も時間もたっぷりかけた本当に素晴らしい作品です。
しかしながら、昔の旅人、特に紋次郎のような野宿を常とするような無宿人は雨や風、暴風雨のような時には旅は大層難儀でしたでしょうね。あれ程の粗食で過酷な道中。野宿では疲れも取れなかっただろうし、やはり長生きは無理だったのかな。
紋次郎を見ていると、社会がどうのこうの・・と文句ばかり言っている人々が何を贅沢な・・と思えてきます。勿論自分を含めてです。(;一_一)

  • 20090815
  • sinnosuke ♦qvC5RZw6
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Re: 日々紋次郎 「雨と紋次郎」

sinnosukeさま、コメントをいただきありがとうござんす。
あっし、野宿といいやすと餓鬼の頃テントで寝た記憶しかござんせん。ありゃあ寝られたもんじゃござんせんねぇ。
紋次郎兄貴は、どこでもすぐに眠りに就けるように訓練されておいでとか……。
そのかわり危険を察知すると、動物的な勘で
すぐに身を守る体勢に入りやす。
さすがでござんす。
一睡もせず夜旅を続けることもありやすんで、並大抵の体力ではござんせんねぇ。
とても真似はできやせん。

  • 20090816
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎 「雨と紋次郎」

お邪魔いたしやす。
奥州路七日の疾走を読んでたら雨の記述がありましたので。

旅人を何よりも、憂鬱な気持にさせるのが、この雨というものであった。明日のわが身がわからない流れ者を、最も孤独にさせるのが雨の中の景色だった。あるいは過去を振り返り、あるいはこれから先の心細さに思いを馳せる。望郷の念に駆られ、死んだ者のことを思い出す。今後のことを考えて、やりきれないような気分になる。

Re: 日々紋次郎 「雨と紋次郎」

桐風庵さま、コメントをいただきありがとうござんす。
同じ景色でも境遇によって、見え方が違うモンでござんしょうねえ。
心象風景として、雨は大きな役割を果たすものでござんしょう。
それだけに、原作で雨を設定するときは、笹沢氏は思い入れが深かったのかもしれやせん。

  • 20090821
  • お夕 ♦wikz35BA
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