紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎「悪女列伝~お冬」

日々紋次郎「悪女列伝~お冬」

日々紋次郎「悪女列伝~お冬」
数多の悪女が登場する中、「怨念坂を蛍が越えた」に出てくるお冬のステータスはかなり高い。
お冬は大総代の妻……「御新造さま」と呼ばれている。

この大総代は、三十か村以上の村々を支配する総代名主のことである。その権威と格式はかなりのもので、豪農であり武士級の家格である。
お冬は野州で五本の指に数えられる分限者の妻として、支配下にある村人や宿民から畏敬の念を持たれている。

年の頃なら二十八、九、気品のある美貌で成熟した女の貫禄を具え、物腰は上品で淑やか。しかしその美貌は冷たすぎるくらいで人形のよう……愛嬌は感じられないと記述されている。

このお冬には、幼い頃別れた弟がいる。お冬は裕福な百姓家出で名主のところへ養女としてもらわれたので、弟とは縁が切れている。その後実家は没落し、弟である源吉は無宿の渡世人となり放浪。しかし、このお冬がいる野州鹿沼宿で出会うことになる。

お互い名乗り合うことはないが、お冬にとって源吉は降ってわいたような邪魔者である。大総代の義理の弟が、無宿の流れ渡世人であることがバレては一大事。お冬は大総代の権威を、命がけでまもろうとしている。

日々紋次郎「悪女列伝~お冬」

お冬は宿外れにある怨念坂に、化け物が出るという噂を解明するよう源吉を仕向ける。それも涙まで見せて……。源吉は、生き別れの姉の窮地を救うために、紋次郎と共に怨念坂に向かう。
そこで待ち受けていたものは、化け物ではなく脱藩した浪人集団。お冬はそのことを知っていながら、源吉を行かせたのである。狙いは源吉を亡き者にするため……。自分の保身のために、血のつながりのある実の弟を命を奪う。

まさに悪女である。
実の弟八人を訴人した、「 虚空に賭けた賽一つ」のお春に通ずるところがある。

「蛍の源吉」は幼い頃、夏に飛び交う蛍が好きだったという。しかし姉であるお冬はその名の通り、冷たく非情な女だった。冬と蛍とは相いれないものだったのだろう。


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Re: 日々紋次郎「悪女列伝~お冬」

お夕さん

先日、「怨念坂を蛍が越えた」を見たばかりでした。斎藤美和さんでしょうか、この「お冬」を強く品よく演じられていたのは。大総代の家を守ることだけを考えていて、その一途さの果てだったのかなとも思いました。そのために邪魔者は消す、ましてや身内でも殺すというのは、やはり悪人なのでしょうが。紋次郎の楊枝が、提灯にある家紋を燃えさせ消滅させるラストはなかなか印象的でした。
紋次郎シリーズのなかでも、この様なミステリアスな作品はいいですね。次回の悪女を楽しみにお持ち致します。

  • 20160319
  • いなさ ♦-
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Re: 日々紋次郎「悪女列伝~お冬」

いなささま、コメントをいただきありがとうございます。

「怨念坂を……」ではどちらかというと、お六役の太地喜和子さんの存在が際立っていましたが、お冬役の斎藤美和さんも適役でしたね。

源吉の健気さが切なかったです。
原作よりテレビ版の方がドラマチックだったと思います。ラストシーンも印象的で、凝ったつくり方でした。

間引きから紋次郎を救った姉のお光とは違い、本当に残酷な悪女のお冬でした。

一般には「血は水よりも濃い」といわれていますが、紋次郎ワールドでは「血は水よりも薄い」ですね(笑)。

Re: 日々紋次郎「悪女列伝~お冬」

 お夕様、お邪魔いたします。

この回を観て(原作は存じません)の、大変個人的な感想を、聞いて頂ければと思います。

一人っ子の私は、小中学時代、兄弟とりわけ優しい
姉ちゃんのいる友達が羨ましかった事を思い出しました。
そのせいか、子供会等で面倒を看てくれる近所の
お姉さんに憧れたりしていました。

そんな私が、源吉の立場だったとすれば、
お冬姉ちゃんのこと、絶対に嫌いになれないなあと
思います。
姉ちゃんのたくらみが判っても、言う通りにしてしまいそうです。
姉ちゃんの言う事は、絶対だから。

 本当に個人的な事を書いて、すみませんでした。
失礼いたします。

  • 20160322
  • 宵積 ♦-
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  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「悪女列伝~お冬」

宵積さま、コメントをいただきありがとうございます。

一人っ子さんなんですね。
お姉さんに憧れるお気持ち、わかります。

お冬姉ちゃんが困っているのなら、一肌脱がなければ……と危険を顧みず、怨念坂に向かった源吉の気持ちはお冬には届きませんでした。
その残酷な結末を、テレビ版での源吉は知りません。きっと、お冬姉ちゃんの役に立ったという気持ちのまま、死出の旅に立ったと思います。

源吉はお冬に名乗り出て、迷惑をかけようなどとは思っていなかったと思います。そうじゃなかったら、早くに身の上を明かし、強請ったりたかったりするはずでしょうから……。ずっと遠くからでも、お冬を見ていたかったんでしょう。
切ないです。

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