紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎「手目博奕(イカサマ博奕)」

日々紋次郎「手目博奕(イカサマ博奕)」

日々紋次郎「手目博奕(イカサマ博奕)」
イカサマ博奕のことを、江戸時代では「手目博奕」と呼んでいたという。

紋次郎のテレビ版で、印象的なイカサマ博奕の場面は、第1話「川留めの水は濁った」のお勝のシーン。お勝は女壺振りで、佐太郎の情婦。実の弟と示し合わせてイカサマ博奕で佐太郎から金を巻き上げる。そのときの手口が「毛返し」である。この手法は、テレビ版でも説明されていてわかりやすい。
原作から抜粋する。

「昨夜お勝が使った壺は、目籠に紙を張り、その上に柿渋を塗ったものだった。その壺には、毛返しの細工がしやすいのである。壺の中に髪の毛を三角形に張り渡して、ちょっとした引き工合でサイコロを好きなように転がす。それが毛返しであった。」(原作より抜粋)

佐太郎の情婦であるお勝を疑う者は、誰もいない。信用した者には、そのイカサマを見破ることができない。

「しかし紋次郎は誰も信じない。お光に瓜二つのお勝であろうと、やはり同じことだった。だからこそ、お勝の手目博奕であることを見抜けたのだった。」
 (原作より抜粋)
さすが紋次郎!紋次郎は、その手目博奕が毛返しだったことも見破っていた。

日々紋次郎「手目博奕(イカサマ博奕)」

手目博奕の方法は多岐にわたるようで、「江戸やくざ研究」(田村栄太郎著)の「丁半と賭場」の項に記述がある。古い言葉やその筋の専門用語で書かれた資料なので、少しわかりにくいのだが、賽に細工したものと壺笊に細工したものとがあるようだ。
イカサマの賽(骨子)には5種類あるとされている。

(イ)七分骨子  丁又は半の一方の目のみ出る骨子を謂う。
(ロ)盛り付け骨子  骨子の表裏両面に、同一の目を盛り、丁若しくは半の一方のみ出るものを謂う。
(ハ)粉入り骨子  骨子の内部を空虚とし、之に水銀を容れ、随意の目を現出し得る骨子を謂う。
(二)針入り骨子  骨子の丁目、若しくは半目に針の先端を出し置き、伏せたる茶碗にて動かし、針が是に触るる感覚に依り現れ居 る目を知り得る骨子なり。
(ホ)磨り落し骨子  半目若しくは丁目の盛りある部分の角を、少し磨り落し、之を投じたる際、反対の目を現出し得る様、装置したる 骨子なり。
(「江戸やくざ研究」より抜粋)

壺笊は前述したものの他に、藤製や鼈甲製もあるとされている。鼈甲製とは、なんとも豪華である。

イカサマ壺には「毛返し」の細工の他に、一部分にバネ仕掛けを施し、押すと隙間ができて、中が見えるようなものもあったようだ。

大がかりなものでは「穴熊」というものが紹介されている。

①賭房となる座敷の畳と座板に一、二寸を一辺とした四角形の穴をあける。
②その上に白い布を敷き詰め、その穴の部分にちょうど壺を伏せるようにする。
③床下、または賭房が二階なら天井裏に潜伏した者が、懐中電灯で穴から透かした目を読み、合図どおりに畳針で下から賽をひっく り返す。

懐中電灯とあるので、これは比較的新しい手法なのだろう。江戸時代ではどうだったのだろうか。それにしてもここまでやるか、というぐらいの手の込みようである。

ここに書かれたものはほんの一部で、まだまだたくさんのイカサマがあったのだろう。

日々紋次郎「手目博奕(イカサマ博奕)」

イカサマはいつの世にも存在し得る。大きなものから些細なものまで……。現に私たちも、いろんな面でイカサマに遭い騙されている。紋次郎のように、「誰も信じない」という境地まではたどり着けそうにない。

人の世がある限り、イカサマは存在し続けるのだろうが、ますますグローバルになり複雑になり……この先どうなるのか見当もつかない。
大きなイカサマほど、見抜けないものなのかもしれない。


(参考文献 「江戸やくざ研究」(田村 栄太郎)」


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Re: 日々紋次郎「手目博奕(イカサマ博奕)」

「江戸やくざ研究」なるものがあるなんて知りませんでした。もちろん、知らない世界ですがすごく面白読ませていただきました。
いかさまはしってましたが、なんと、髪の毛を使うんですね!
今はスマホで何でもできますけどね。

  • 20161016
  • てのりぱんだ ♦C/Rcg83E
  • URL
  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「手目博奕(イカサマ博奕)」

ぱんださま、コメントをいただきありがとうございます。

いつの世でもどこの世界でも、イカサマはあるようですね。

人を騙すのは良くないことですが、生物の擬態なんかは生きるためのイカサマですよね。
実に健気……賞賛に値するものだと思います。
メイクアップで美しく……なんてことも、イカサマの部類に入るんじゃないでしょうか。

考えてみると、イカサマだらけの世の中です(笑)。

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