紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎「雪と紋次郎」

日々紋次郎「雪と紋次郎」

日々紋次郎「雪と紋次郎」

今年の冬は想像以上の大雪。我が湖国も例年以上の大雪に見舞われ、交通マヒ、事故、休校など、様々な影響が出ている。雪景色も見る分には美しく風情があるものだが、実生活を考えると大雪は厄介なものである。私も連日の雪かきを久しぶりに体験した。

さて、紋次郎も雪道を当然歩いている。あの軽装で極寒の雪道を歩けるのか、といつも疑問に思うが答えは出ていない。
ざっと調べただけなので、漏れているものもあるかもしれないが悪しからず。

「雪燈籠に血が燃えた」
父なし子で母親もこの世にはいない秀坊が作った雪燈籠は、傾いていて貧弱なものだったというのが哀しい。小さな村の道端に並ぶ、子どもたちが作った雪燈籠……灯がともる様を想像すると胸が切なくなる。

「鬼が一匹かかわった」
甲州、信州、上州の国境一帯の冬の山々の様子を冒頭に表現している。

「冬は北画に描かれるような山と樹海であって、不気味なくらいの迫力を見せる大自然であった。
いまは、その山々が雪をかぶっている。山頂の付近は完全に白くなっているが、それ以外は斑であった。樹海まで、雪に埋まっていないからである。白い粉を振りかけたように、積雪の密度というものが感じられなかった。」(原作より抜粋)

難所である碓氷峠の雪道の途中、紋次郎は病身の男と幼女に出合う。男は幼女「お鶴」の父親なのだが、お鶴を捜しているうちに崖から落ちる。
「枝の上の雪が、白い花となって舞い落ちた。」
この表現で、男が木を掴んで崖下を覗いていたということがわかる。雪を使った見事な表現だと思う。

日々紋次郎「雪と紋次郎」

「三途の川は独りで渡れ」
間引かれそうな赤子のために、紋次郎は雪の北国街道をひたすら歩き続けることになる。一日に十里、約四十キロを、雪が降りしきる中を歩くという強行軍である。それも、結構重い風呂敷包みを持ってである。
雪道を歩くためのコツが記述されている。

「紋次郎は街道の左の端を、足を早めて歩いた。前方から来る者と、ぶつからないためであった。爪先に重味をかけて、直線上を歩くようにする。爪先に重味をかけるのは、雪で滑るのを防ぐためだった。」(原作より抜粋)
よく滑って転ぶ私……参考にしたい(笑)。

「お百度に心で詫びた紋次郎」
冒頭の部分で雪のシーンがある。雪をかぶる松並木。その松の根本に、瀕死の渡世人が倒れている。その渡世人の、今わの際の伝言を託されて、紋次郎は吹雪の中をひた走る。

「野州を北へ向かえば、雪と風はますますひどくなる。吹雪であった。白い闇の中を、紋次郎の孤影は飛んだ。風に舞い、雪に追われた。紋次郎は走った。」(原作より抜粋)
「白い闇の中」という表現は印象的である。

「黙して去った雪の中」
雪の作品の中では一番好きな佳作。詳しくは拙ブログ。
http://kogarashi1940.blog10.fc2.com/blog-entry-296.html

日々紋次郎「雪と紋次郎」

「乱れ雪の宿」
大雪の甲州を、商人夫婦とその下男、そして鉄蔵という渡世人と共に峠をいくつか越える紋次郎。

「下初雁、中初雁をすぎたあたりから、北風が激しくなった。雪の密度も濃くなり空中を舞い、渦を巻くように人間を押し包む。白い闇が目つぶしと変わらず、視界も利かなくなる。ついに白野で、歩行困難となった。」(原作より抜粋)

いかにも寒そうである。字面を追うだけでも凍えてしまいそうになる。

しかたなく、一行は宿場外れの石屋の二階に宿をとる。そこで相部屋になった二人の男から、とんでもない因果な話を聞かされるのだ。
表題の「乱れ雪」は、因果な人間関係とその心内を表わしていると言っていいだろう。
真実がすべて明かされ途方に暮れる平三郎。

~「わたくしどもは、これからどうすればよろしいのでしょう」
虎屋平三郎は、土下座して泣いている。
「そいつは、おめえさん方で決めるんでさあ。あっしには、かかわりのねえことで……」
紋次郎は、笹子峠を目ざした。晴れていても難所とされる笹子峠が、大雪に埋もれている。しかも吹雪となれば、越えられる者はいない。だが、笹子峠のほかに行く道があるのかと、木枯し紋次郎は吹雪の中を進んだ。~(原作より抜粋)

誰もが過去の重荷を背負っている。そして、それは宿命であるので逃れられない。他の道はないのである。覚悟を持って、受け容れるしかない。

日々紋次郎「雪と紋次郎」

「雪の中の大根」
命を狙われていると承知の上で、雪の峠を越え「万場」へ向かう紋次郎。松井田の藤三郎の形見分けである風呂敷包みを、木颪の本次郎に届けるためである。風呂敷包みの中身は、なんと重箱に入った大根が二本。この判じ物のような代物を目にして、咄嗟に大根の白さと素人のシロを掛けた大根役者のいわれを披露する聡明さには驚く。最後は、血に染まった赤い大根に楊枝を飛ばす紋次郎。

原作が紋次郎ではないが「雪に花散る奥州路」や、テレビ版では大雨を大雪に変更した「冥土の花嫁を討て」などは、映像的にも印象に残っている。

白い雪と血……相反するコントラストを狙った作品が多いが、一滴も血を流さなかった「黙して去った雪の中」が、やはり私は一番好きである。

外はまた、雪が静かに降り積もってきた。
大雪に見舞われた方々にはお見舞い申し上げます。


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Re: 日々紋次郎「雪と紋次郎」

紋次郎、雪に強すぎの印象ですが。カイロを懐に忍ばせていたのでしょうか~(@_@)

  • 20170208
  • カノッチ ♦-
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  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「雪と紋次郎」

カノッチさま、コメントをいただきありがとうございます。

昔のカイロ……で思い浮かべたのが懐石。寒い冬、石を火で温め懐に入れて暖をとったというものです。温めたコンニャクもあったということですが、これは絶対紋次郎はお断わりでしょう(笑)。

  • 20170208
  • お夕 ♦wikz35BA
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