紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」

しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」

しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」
紋次郎にとって長脇差は、自分の身体の一部である。何があっても手離すはずはなく、それは死を意味することでもある。したがって作者笹沢氏は、紋次郎の持物として、長い楊枝と長脇差を必ず冒頭で書き表している。「長脇差は、錆朱色の鞘と鉄環と鉄鐺で固めた頑丈そうな拵えで……」と、大体同じような文体で説明している。しかしこの命の次に大事な刀を、紋次郎は何度か折りピンチに陥っている。

「一里塚に風を断つ」では、難癖をつけて娘を襲おうとするヤクザ者とのいざこざで、長脇差を折ってしまう。襲ってきた男の胸に突き刺したとき、力が入りすぎて背中へ抜け石に当たり、刃渡り四十センチを残して折れてしまった。紋次郎はその後、神戸の里に隠れ住む刀鍛冶「北村直光」を訪ね、最終的には直光の銘のある刀を譲り受ける。直光が二年がかりで鍛えたという名刀は折れた紋次郎の長脇差と同じく二尺、反りもピッタリと鞘に納まる。テレビ版ではこの名刀も折れてしまうのだが、原作ではしばらく紋次郎の左腰に落とされたであろう。

しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」

「唄を数えた鳴神峠」では、海野の武右衛門から逃げて来た瀕死のお夏に呼び止められただけで、命を狙われる紋次郎。武右衛門一家総出の追撃に、紋次郎は最大のピンチに追い込まれる。手傷を負って敵ともろとも滝壺に落ち、岩を這い上がった紋次郎の右手には長脇差の柄しか残っていなかった。長脇差が折れたのだ。この後紋次郎は、竹槍や落ちていた敵の長脇差などで戦い、これが最期かと思われるような終わり方で締めくくられる。実際このあと、いったんシリーズは完結する。

「雷神が二度吼えた」でも、何の覚えもない乾の重蔵一家に追われる紋次郎。今回は刀が折れる前兆がある。長脇差を男の顔面に振りおろした際、衝撃が走り白刃が抜け落ちそうになる。白刃と柄を繋ぐ木製の目釘が抜け落ちたのである。紋次郎は咄嗟に、自分の楊枝を幾重にも折って目釘代わりにし急場をしのぐ。

テレビ版では「地蔵峠の雨に消える」で、お千代が入浴中の紋次郎の隙を狙って目釘を必死に抜くシーンが印象的だった。しかし紋次郎はその異変に気づき、梅の小枝を目釘代わりに使うのである。これはこれでカッコよかった。

しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」

「雷神……」ではその後の敵の襲撃でとうとう長脇差は折れてしまう。素手になってしまった紋次郎を九人の男たちが取り囲む。そんなときなのに紋次郎は、国定忠治が長脇差について以前話していたことを思い出す。「ナマクラでも構わねえってのは、命を張っての毎日ってものを知らねえ野郎だ。手めえの命を守りたかったら、頼りになる業物を持つことだ」
実際忠治は、渡世人といえども値の張る長脇差を持っていたのだろう。

絶体絶命の紋次郎を救ったのは、何と落雷であった。その後紋次郎は、一緒に行動していた堀田又兵衛が持つ、主君に献上すべき名刀「志津三郎兼氏」を譲り受け敵を斃す。
作品の最後に、鍔のない白鞘の刀を腰に落とし街道を往く紋次郎を珍しそうに見る旅の渡世人……。それもそうだろう。
それはそうと、白鞘を腰に落としているというのはわかるが、いつもの錆朱色の鞘はどうしたものか?刀身は折れたが、多分鞘は無事だっただろうから手元にあるはず。そのいでたちについてはそれ以上書かれていないので不明だが、白鞘と錆朱色……紅白の鞘を腰に落としたのか(笑)。

一番気になるのはこの二尺足らずの刀が、紋次郎の鞘に合うのかどうかである。原作内では「しかし、これが今後の錆朱色の鞘を鉄環と鉄鐺で固めた半太刀拵えの、紋次郎の長脇差の中身になるのである。」と書いてある。刀身と鞘は一体化されているものかと思われるのだが、まあ、細かいことはこだわらない方がいいのか……。

この「雷神……」の中でも、「外見こそ変わらないが、白刃そのものはいったい何度ぐらい新しくしたことだろうか。」と書かれているので、紋次郎の腰に落とされた長脇差も何代目かのものだったようだ。しかし多分今回の業物は、紋次郎史上最高の名刀だったことだろう。この名刀の始末は定かでない。


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Re: しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」

2尺もあるんですか、大刀とさほど変わらない長さがあるんですね。

  • 20180216
  • カノッチ ♦-
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  • 編集 ]
Re: しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」

カノッチさま、コメントをいただきありあとうございます。

脇差しといっても色々あるようで、2尺までとされているようです。法令では博徒は1尺8寸以下の長脇差しか差せないのですが、2尺未満なら大目に見られたとのことです。
紋次郎が持つ長脇差は、その大目に見られた範疇なんでしょうね(笑)。

  • 20180217
  • お夕 ♦wikz35BA
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  • 編集 ]
Re: しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」

お夕様

こんばんは。

毎度興味深い記事をありがとうございます。

紋次郎も終盤のものは早めの時間に脇差を抜いていま
すね。

第二シーズンに入ると何か紋次郎の優しさがうまく引き出されるような演出がされている感じを受けますがやはり渡世人の厳しさを見せるセリフも多くなっている感じを受けます。

BS再放送が一気に来ましたので録画してじっくり見ております。

今後もお夕様の紋次郎の新しい発見の記事を楽しみにしております。

  • 20180217
  • まさし ♦-
  • URL
  • 編集 ]
Re: しくじり紋次郎「折れた長脇差始末記」

まさしさま、コメントをいただきありがとうございます。
BS放送のおかげか、若干アクセス数が増えています。(今だけでしょうが……笑)
往時を知る人も初めて観る人も、紋次郎の魅力を味わっていただきたいものです。

私は最近、「鬼平犯科帳」を鑑賞しております。紋次郎とは真逆の存在ではありますが、人間味と胆力のある鬼平にも憧れます。こんな上司がいたらいいなあ、と思う毎日です。

  • 20180217
  • お夕 ♦wikz35BA
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