紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」


紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」
*紋次郎が撮影されたロケ地や、原作に出てくる宿場や街道、峠などを紋次郎の影を求めて旅をしました。

「水車は夕映えに軋んだ」の記事で、紋次郎のタイトルロールで長ドスを抱いて横になっているのはどこか。
それは京都の「藪田神社」である、ということを掲載しました。
これはたまたま「水車は……」を観ていて気づいたことで、あの場所は二度と見つけられないと半分あきらめていたただけに、本当にうれしかったです。

しかし、映像だけの推理では説得力がないので先日行ってきました。
京都の南丹市園部町。場所がわからず、田んぼで稲刈りをされているご夫婦に道を尋ねました。
お忙しく仕事をされているのに快く応じてくださいました。
「ああ、よく時代劇の撮影に来やはる神社?」
と答えていただき、改めてこの神社の存在感を思いました。
田園風景が広がる中に集落があり、そのはずれに藪田神社はありました。
一番に目についたのは、大きな古木。クロガネという木だそうです。他にはサルスベリやイチョウの木もありました。

紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

鳥居越しに見える舞殿が、紋次郎が長ドスを抱えて横になっていたところです。
真っ先に確認したのは床を支える梁や柱の模様です。
実はあのタイトルロールがどこかと特定できたのは、三段論法があったからです。

「水車は……」でのお鶴が逃げ込んだ社がこの藪田神社。これは鳥居や鳥居の隣にそびえる大木などで判断できます。
本来は萱葺きの舞殿ですが、壁板を張り巡らして祠風にしてあります。これは美術さんのマジックです。

紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

外回りは手を加えていますが、柱や床はそのままですから、映像をよく目を凝らして見ますと木目や節の模様があります。それが決め手になりました。
「水車は……」の祠とタイトルロールの舞殿とは屋根が萱葺きであり、柱と床の梁の模様が同じ。
「水車は……」の祠は藪田神社の舞殿。
従ってタイトルロールの舞殿は藪田神社ということです。

タイトルロールの舞殿=「水車は……」の祠
「水車は……」の祠=藪田神社
故にタイトルロールの舞殿=藪田神社
ということです。

とにかく紋次郎のロケ撮影は、できるだけ同じ場所は使用しないという美術さんのこだわりがあったようで、使用するのであれば、全然別個のモノになるように手を加えています。
ですからまさかあの祠が、タイトルロールの舞殿と同じだとは気づきません。紋次郎が横になっている最小スペースしか、映像にはありませんから、本当に決め手は少なかったわけです。

紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

舞殿は残念ながら屋根は鉄製になっていました。右手には低い石垣があり竹藪が奧まで続いています。
タイトルロールと同じアングルになるようにすると、舞殿の奧の燈籠や本殿の位置関係もピッタリ同じでした。
張ってある床は撮影当時より新しく、近年張り替えられたようです。しかし柱は古く、こちらは撮影当時のままだと思います。柱の節状の模様も当時と同じでした。

紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

ともかく紋次郎と同じように寝ころんでみました。気持ちよかったですが、誰かが見たら不審者と間違われていたでしょうねえ。
37年前も紋次郎は、この場所からこの景色を眺めたのかと思うと、感動で胸がキュンとなりました。
タイトルロールの撮影は多分10月ぐらいだと思われますので、丁度今回訪れた時期だと思います。あの映像は余分なものは全てカットされていましたが、昼下がりの木洩れ日が情緒的で、その光と影だけが絶妙な装飾を施した映像でした。

紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

本殿は屋根を護るように覆いがされていましたが、「水車は……」の時、音を立てて揺れていた鈴はそのままでした。
また正面は細かい格子が施されていて、本殿の内側から格子越しに紋次郎の殺陣の様子が撮影されていました。本殿の内側からの撮影は、よく許可されたものだなあと思います。
低い石垣沿いに参道があり、名脇役の山本一郎さんが仙造役で、ゴロゴロ転げて紋次郎の長ドスをかわしていたことを思い出しました。

紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

静かな古社で誰一人訪れる人はいませんでしたが、農作業から戻る若者が乗る軽トラだけが、帰り道1台通り過ぎて行きました。
37年間ずっと疑問に思っていたことが明らかになり、感慨深いものがありました。願わくば萱葺きの屋根のままであってほしかったのですが、本殿などはできるだけそのままで残そうとされていて、地元の方々のご努力やご尽力を思いました。

鳥居を出た道ばたにコスモスの花が……。37年前の紋次郎ももしかしたら目にしたのかもしれません。

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Re: 紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

あのオープニングの蓑虫のように道中合羽にくるまって眠っているシーンが特定できたなんて、スゴいですね!!
私の家は、比較的京都に近いので、私も眠りにぜひ行きたいです。(笑)

  • 20091016
  • カミヤッカー ♦a2H6GHBU
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Re: 紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

カミヤッカーさん、コメントをいただきありがとうございます。
これから先ですと寒くなりますから、ぜひ道中合羽ご持参で訪れてください。(笑)
紋次郎ファンが次々と、寝そべりに行ったりするかもしれませんね。
風情のある社ですので、私もまた行きたいと思っています。

  • 20091016
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

お夕様。こんばんは。
「紋次郎の影を追う」毎回、素敵な写真を楽しませて頂いています。いつもながら本当にうらやましい限りです。あの一瞬のタイトルロールから数々の名推理と検証・・金田一耕介もまっ青ですよ。(@_@。
実は、私ごとですが、月末に紋次郎の故郷の上州の土を踏むことになりました。父が東京方面には何度も行ったが、今だ日光に行った事がないので、どうしても行きたいと言うのです。それで、ツアーですが、日光・草津・善光寺と言うのがありまして、それに参加する事にしました。ツアー旅行と言うのは一度しか経験がなく、かなり強行軍だとは覚悟していますが、それでも初めて関八州に足を踏み入れます。念じれば通じるですかね・・(笑)紋次郎の歩いた道・・。心して空気を感じて来たいと思ってます。

  • 20091016
  • sinnosuke ♦ln0ZCbm2
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Re: 紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

sinnosukeさま、コメントをいただきありがとうございます。
お父様孝行をされるんですね、楽しんで来てくださいね。
でもお父様が日光に行きたいと仰ったのは、もしかしたら逆にsinnosukeさんの事を思って……かもしれませんよ。

日光街道は「木枯らしの音に…」、善光寺は「女人講の…」、草津は「無縁仏に…」や「錦絵は…」の原作中に触れられていますので、何冊か持って出かけられてはいかがでしょうか?(荷物になりますが)感動も深まると思いますよ。
私も日光には、未だ行ったことがありません。秋も深まり、まさに紋次郎の季節です。
良い旅になりますように……。

  • 20091016
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

お夕さん、こんばんは。
ロケーションもいろいろあるんですね。映像京都のスタッフさんたちはたいへんだったんでしょうね。ロケ地捜して細工してと。最近ケーブルテレビに入って、懐かしくて「黄金の日々」を見ています。唯一商人を主人公にした大河だったので、高校時代は熱心にみていました。HDでもないのに映像がすごくきれいですが、よくみるとほとんどすべてオープンセットを使ったショットで、暗号とまではいかないですが、ロケでやるよりずいぶん楽だし、予定通りに撮影が進むんだろうと思いました。時代劇と一概に言っても作り方いろいろで、作る人は楽しいだろうなと思います。コスモスがきれいですね。コスモスは明治以降に入ってきたらしい外来種なので紋次郎にでてきたらびっくりですね。でも「おしどり右京捕物車」には、どうみてもコスモスとしか思えない花が出てきてます。あれは時代劇の装いを借りた現代劇だからアレでいいんでしょう。最近レンタルDVDで「右京」にはまっていますが、面白いです、原作がないので山内久司さんが考案したのでしょうか。勧善懲悪・予定調和の時代劇が多い中にあって、そうではない高級な時代劇はあるものだなと思います。春日太一「時代劇は死なず」によると、2008年は時代劇が激減していると、2009年は、映像京都とフジテレビがある名作時代劇のリメイクに向けて動いている、とあとがきにありますが、これって紋次郎ですよね。私も実はあのリメイクを見て、原作脚本のすばらしさに、これは自分が知っている予定調和の時代劇でないと思って、紋次郎のDVDを買ってみたので。あれはHDリマスターへの足がかりだったんでしょうかね。江口さんではシリーズ化を切望するほどの磁力というか、そういったものが足りなかったように思えました。江口さんでシリーズ化するよりオリジナルをより多くの人が見られた方が、時代劇の再評価につながると思います。リメイクでなくリマスターという選択は正しいように思えますねえ。

Re: 紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

八朔さま、コメントをいただきありがとうございます。
ロケ探しには苦労されたと思います。時間も経費も必要ですし、天候にも左右されますし。
美術の西岡さんのインタビューを紹介します。
「こっちもそうそう映画のような贅沢なセットはできんから、ロケの途中で目を光らせて、あそこには壊れかけた小屋がある。あそこは使えるなと目をつけておいて、なるべくありものの農家を借りたりしました。そこで牛を飼ってると、その牛も紋次郎の横を通って出演したり。楽しかったな。今頃の亀岡はもやがかかってええ季節やとか、紋次郎はとにかく外にいる男やから、自然の状況も活かされるんですよ。」
苦労も多かったでしょうが、職人の血が騒ぐといったところだったんでしょうね。
今ではそんな農家もなくなりつつありますから、余計に大変でしょうね。
「右京さん」……私も当時は、かかさず観ていましたね。おしどりぶりにちょっとヤキモチを妬いたりして……。あの箱車は、相当重かったでしょうね。

  • 20091020
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

お夕様。こんばんは。
旅行の件でアドバイスありがとうございます。本持って行きますね。
出発までに一週間を切ったのですが、なんとかお天気であればいいな・・と思っています。
連日、紋次郎の放送嬉しいですね。我が家は結局HDでは観られていないのですが、それでもかなり綺麗な気がします。
時代劇となると本当にロケに苦労した事と思いますが、一つの物を皆で作り上げる喜びって苦労した分だけ倍加されるのではないでしょうか。紋次郎のスタッフの並々ならぬ心意気に中村氏も著書で「これはアルバイト気分では到底仲間に入れて貰えないと思った」と書かれていますが、本当にそうですね。
各々が自分の担当分野で存分に力を出し切った結果が名作と言われる所以でしょうね。
俳優さんを見ない限り、37年前の作品とは思えませんね。(笑)

  • 20091020
  • sinnosuke ♦SYpZ2H2I
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Re: 紋次郎の影を追う「京都ロケ地 藪田神社」

sinnosukeさま、いつもコメントをいただきありがとうございます。
よい道中になるといいですね。深まる秋を、堪能してきてください。どこかで紋次郎さんに逢えたら、よろしくお伝え下さい(笑)。
京都の亀岡はよくロケ地に使われているようですが、本当にいいところです。かなり冷え込むところですので、秋から冬にかけての撮影は相当寒かったと思います。
良い作品は一人ではできません。制作に関わる全ての人が、自分の仕事を貫徹しないと、成しえないものだと思いますね。
作品に対する敦夫さんの姿勢も、回を重ねるにつれ変わっていったことはよく分かります。その真摯な姿勢を意気に感じ、市川監督は「獣道に……」のメガホンを敦夫さんに預けたのでしょう。
人が作品を創り、作品が人を創るんですね。

  • 20091021
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
  • 編集 ]
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