紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎「予告編のコピー」

日々紋次郎「予告編のコピー」

日々紋次郎「予告編のコピー」

スカパー!「時代劇専門チャンネル」で「木枯し紋次郎」が、この秋ハイビジョン化されました。往年のファンはもとより再放送でしか知らない若いファンにとっても、小躍りしたくなるほど喜ばしいことだったと思います。
(私は未だにアナログですので、映像の鮮明さは想像で書いています)
映像については、絶滅危惧種のアナログ人が遠吠えしても届かないのでこの辺にして……。

さて巷の声に耳を傾けますと、(巷ってどの辺り?と訊かれそうですが)
「どうしてあの予告編を流さないのか!」というご意見が多かったようです。
そうです!
まさにその通りです!
ファンにとってはあの予告編にたまらなく、また切ないほどの思い入れがあるのですから……。
下手をするとあの当時のスポンサーのCMにまで、思い入れがあるほどですから。
ファンを侮ってはいけません。

芥川さんの名調子に酔いしれ、次回の映像を食い入るように見つめ、
「次回、木枯し紋次郎にご期待下さい!」のナレーションと紋次郎のアップにポーッとなっていたあの頃。
「紋次郎さん、もうお別れなんですか?」
1週間逢えない寂しさと切なさに、胸が締め付けられる思いで、予告編の最後まで凝視していました。

だのに今回の放映には予告編がない!
オープニングから予告編の終了までが一作品なのに、何たる事よ……というガッカリ感でいっぱいでした。
あの予告編に、心血を注いでいた人がいたはずです。短い尺で簡潔に、次回の魅力を表現する。まさにギュッとつまったエッセンスです。映像の編集はもとより、ナレーションも五七調で語呂良くまとめないといけません。
短くまとめるというのは本当に難しいことです。(私の記事がいつもダラダラ長いのは、下手な証拠です)

「頼れるものはただひとつ おのれの腕と腰のドス」
このコピーは笹沢作品「雪に花散る奥州路」(昭和46年8月20日 第1刷)の帯に書かれていたのと
(「頼るものはただひとつ己れの腕と腰のドス」)
ほとんど同じです。紋次郎シリーズが放映される以前の発刊ですから、この帯のコピーが活かされていると推察できます。
他にも予告編の有名なコピーは誰の手によるものか……。

日々紋次郎「予告編のコピー」


「実録 テレビ時代劇史」 
能村庸一著から一部抜粋します。能村庸一氏は時代劇プロデューサーとして有名な方です。

……フジの広報担当田村稔も、この番組に惚れ込んだ一人であった。「型でもないし、時代考証でもない。現代に通じるチャーミングなものをこの作品にかんじとった」という田村は、他の作品を忘れて、この一本に賭けた。そういう男であった。
彼はまず中村敦夫という、無名の、顔が長く無口な役者に興味を持った。俳優座時代、あの千田是也に反旗を翻した激しい新劇人と聞いていたが、その素顔は常識をわきまえた知的な青年だった。
  
  無宿渡世に怒りをこめて
  口の楊枝がヒューッと鳴る
  噂のアイツが紋次郎
 
  愛を求めてさすらう旅か
  孤独をいやしてさまよう旅か
  頼れるものはただひとつ
  おのれの腕と腰のドス
 
  生まれ故郷に背を向けて
  後ろ姿が哭いている
  アイツが木枯し紋次郎

予告編に使われた田村のコピーである。その後、平成五年フジがスペシャル時代劇として「帰ってきた木枯し紋次郎」を同じ市川崑監督で制作。放送に先駆けて日々やシャンテシネで異例のロードショー公開されたが、その東宝撮影所に、ある日セットを見学している田村稔の姿があった。中村敦夫は彼を懐かしそうに迎え、その夜は今は豪邸の主となった中村宅でチリ鍋を囲んだという。数多い宣伝マンと仕事をしたが、「紋次郎」における田村ほどの活躍を私は知らない。……


ただの予告編ではないのです。やはりすばらしい作品なんですね。本作に関わった人だけでなく、広報として側面から作品を支えた、いわゆる縁の下の力持ち的存在の人々も数多くいらっしゃたのです。
そういう人々の苦労や支えをしっかり心に刻み、年月が経ってもその労をねぎらう、敦夫さんの人情肌なところにもグッときます。

質の高い魅力ある作品には、それに惚れ込み、有能な人々が集まってくるのですね。そしてその作品に触発され、もっと魅力ある作品を……と磨きをかける人々も現れてくるわけです。
やはりこの「木枯し紋次郎」はすごい作品でした。ひとつ一つの要素が相乗効果をもたらし、本編だけでなく他番組にまで影響を及ぼすほど、すごい作品だったのです。
そして長い年月が経っても、魅了される人が数多くおり、苦労してでもハイビジョン化して放映しようとする方がおられるわけです。

「名作は永遠に不滅です!」

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Re: 日々紋次郎「予告編のコピー」

お夕さんこんにちは。うちでは家族が紋次郎をみていなかったので、リアルタイムでみておられた方の予告篇への思い入れは想像もつきませんが、最近「右京」のDVDを借りて見ていて、予告編がコピーといい、場面の選択といい、すごく効果的に凝縮してコンセプトを表現しているのに感心しました。「櫛」と「峠」の予告編ですが。毎日放送の「獄門島」のDVDも借りたのですが、4回の予告編が付いていて、それも、作品のコンセプトを明確に表現していました。昔のTV番組はこだわって作られたものが多かったと思います。今様のものはCGが多くて味も素っ気もないものが多く、昔はロケで丁寧に撮っていたものが多かったように思われます。昔の名作がリマスターされるのはよいことだと思います。

Re: 日々紋次郎「予告編のコピー」

八朔さま、コメントをいただきありがとうございます。

>昔のTV番組はこだわって作られたものが多かったと思います。
>昔はロケで丁寧に撮っていたものが多かったように思われます。

そうですね。今はテレビ作品で、これだけのロケを敢行することはないでしょうね。
それにロケといっても、いつも同じような場所の使い回しが多いようで、できるだけ近場で効率よく……といった感じを受けます。

余談ですが先日、近所のとあるお寺で、映画のロケがありました。たまたま紅葉を見に行ったら遭遇しまして、役所広司さんが来ておられました。
再来年封切りの「最後の忠臣蔵」の撮影とか……。さすがに映画となると、スタッフや機材も多く、ワンシーンを撮るのにも時間をかけていました。
しかし紋次郎の時も、この位の規模だったと聞いていますから、当時の意気込みはすごかったんだろうなあ、と改めて思いました。
一話つくるのに、かなりの時間と手間、人材、機材を費やしていたことが想像できます。
それだけに、作品への思いも深かったことでしょうね。

  • 20091220
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「予告編のコピー」

お夕さん、はじめまして。
毎回、嬉しくも楽しく拝読をさせて頂いております。
やはり名作にはあの名予告編ですよね。
当時から芥川隆行さんの名調子と誰かが風の中での2番のオケを
使用した予告編には鼓舞したものでした。
それと当時の番宣スポットも素晴しい作品でした。
DVD-BOXには特典DISCとして予告編集が封入されていますが
やはり放映時には予告編も・・・という気持ちです。
予告編に使用されている誰かが風の中でのオケヴァージョンですが本当に素晴しい演奏です。
タイトルではストリングスと紋次郎の歩行がピタリとハマって
いますよね。
確か上条恒彦さんのベストアルバムのオマケにカラオケEP盤が
付いていて予告編を想いながら聞いていた記憶があります。
お夕さんがおっしゃる通り当時のCMまでも浮かんできます。
話が逸れて申し訳ないのですが、主題歌の誰かが風の中でのことで、木枯し紋次郎で使用されているヴァージョンとシングル(EP)盤ヴァージョンではあきらかにミックスの違いがありますよね。
ステレオとモノラルの違いもあるのでしょうが、劇中ではイントロのエコーの違いとか2番が使用されている回は上条さんの声質まで違うという疑問が当時からありました。
テレビ専用に録音をされているとしたら本当に素晴しい方々がこだわりの作品を作り上げたとしか言いようがありません。
名作時代劇とは原作、脚本、スタッフ、出演者は勿論のこと名主題歌、名ナレーター、そして名予告編があってこそ現在まで語り継がれる名作として木枯し紋次郎(中村敦夫さん)が君臨しているのだとつくずく想いが深まるのです。
長々と申し訳ありませんでした。
お夕さんの紋次郎気質、本当に素晴しいブログの気質です。

  • 20091222
  • 鳴神の伊三郎 ♦d58XZKa6
  • URL
  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「予告編のコピー」

鳴神の伊三郎さま、初めまして。
また身に余るコメントをいただきまして、感激しております。ありがとうございます。

伊三郎さんは、もしかしたら鬼首峠からおいでくだすったんで?(笑)
かなり腕の立つ、年季の入ったお方とお見受け致しやす。
草鞋を脱いでいただき、厚くお礼申し上げやす。

「誰かが風の中で」……何度聴いてもすばらしい曲です。作詞、作曲は言うに及ばず……私は秘かに、アレンジャーの才能によるものが大きいと思っています。
1番と2番のアレンジの違いが絶妙で、クライマックスに向かっての高揚感に、いつも勇気をもらっています。

ご指摘通り、主題歌にはいくつかバージョンがあるようで、上條さんの歌い方も演奏のテンポも、微妙に違いますね。
使い回すような不義理なことをせず、その都度、敬意を払って録音されているようで、職人気質と律儀な姿勢が見えます。
多分現代なら、考えられないことではないでしょうか?
やはり、どこをとっても隙のない作品で、まるで紋次郎さんのようです。

伊三郎さん、これからもいろいろ教えていただきたいと思います。
今後とも、よろしくお願い致します。

  • 20091222
  • お夕 ♦wikz35BA
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  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「予告編のコピー」

お夕様。こんばんは。
先日の紋次郎の放映で予告編が無かった件、私もすごく疑問だったし、不満だわ~。
あの予告篇自体が一つの作品位は名作ですよね。
「無宿渡世に怒りをこめて・・」って、すごく紋次郎の生き様を如実に表現しているし、何より芥川隆行さんの名調子で最高にカッコイイのにね。
非常に残念でした。(:_;)

  • 20091222
  • sinnosuke ♦GZgNVSBU
  • URL
  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「予告編のコピー」

sinnosukeさま、コメントをいただきありがとうございます。
予告編の質の高さから、単に本編を切り売りするのではなく、収録したシーンをいかに効果的に使うか……ということに、力が注がれていることがわかります。
バックに、主題歌のカラオケ演奏を使うというのも、当時としては珍しかったのではないでしょうか。
おみつさんによりますと、予告編だけ見られるショットもあるそうで、本編と比べるのも一興かもしれませんね。

  • 20091223
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
  • 編集 ]
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