紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎「『お夕』の訳」

日々紋次郎「『お夕』の訳」

日々紋次郎「『お夕』の訳」
「お夕」という名前は、原作である「木枯し紋次郎シリーズ」の記念すべき第一作目「赦免花は散った」に登場する女でござんす。
というより、初めて紋次郎兄貴を騙す悪女第1号とでも言うべきでござんしょうか。
「赦免花は散った」はテレビドラマでの放映はありやせんでした。菅原文太さんが紋次郎役、江波杏子さんがお夕役で1972年東映で映画化されておりやすが、あっしは未見ですので、映画についてのコメントは控えさせていただきやしょう。

さて、あっしが「お夕」と名乗るようになりやしたのは、ブログを検索していて、花風鈴姐さんのブログ「上州無宿我紋次郎」やおみつ姐さんのブログ「木枯し紋次郎の風景…上州長脇差のダンディズム」に出会ってからでござんす。
たくさんの方がコメントされていてあっしもコメントしてぇ……しかしハンドルネームがねぇ……。
おみつさんは紋次郎の愛する姉、「お光」から取られたお名前というのはすぐわかりやした。紋次郎の命を救い、紋次郎が心を許した最も重要な女性がお光さんでござんす。
それなら紋次郎作品で、逆の立場の女は?ということで行き着いたのが「お夕」ってことになりやす。
紋次郎兄貴は幼馴染みだった日野の左文治に裏切られ、無実の罪で三宅島に流されやす。しかし元はと言えば、その筋書きを考えたのは左文治の女「お夕」だったという訳で。
「女は信用できねえ」と不信感を抱くようになった元凶ともいうべき女が、「お夕」だったんでござんすねぇ。

さてこの作品にはもう一人「お夕」が出てきやす。三宅島に島流しにされた女流人で、紋次郎兄貴が面倒を見ておりやす。
そのお夕は赤子を産むんでござんすが、生活に疲れ果てて赤子共々身投げをして命を断ちやす。男に騙されやすく、人が良すぎる哀しい女でござんした。
このお夕の面倒を見るがために、一度は島抜けを断る紋次郎兄貴でやしたが、その後島抜けに加わりやす。
二人目のお夕も紋次郎兄貴にとっては重要な女でござんした。

自分の欲のため、保身のため、愛欲のために人を騙す、裏切る、手段を選ばない強かな女。
一方、弱い立場で、幸薄く、翻弄されやすい哀しい女。
二人のお夕は、これからこのシリーズに登場する女性像を、暗示するかのような存在でござんす。キーパーソンと言っても良いかもしれやせん。

紋次郎兄貴は、夫を殺すくらいならその前に自分を斬ってくれと頼むお夕に
「冗談は、やめておくんなさい。あっしは女子どもや堅気の衆を斬る長脇差は、持ち合わせておりやせん」
と、有名なセリフを初めて使いやす。
それともう一つ、
「お夕さん、甘ったれちゃあいけませんぜ。赦免花は散ったんでござんすよ」
このセリフにも痺れやすねえ。
紋次郎兄貴の渡世人としての鉄則が、既に確立されておりやす。

三宅島のお夕からは、身重の女や赤ん坊に関することには、敏感に反応する紋次郎兄貴のトラウマが垣間見られやす。のちに明かされる、紋次郎兄貴の出生に関わる部分でござんす。

コメントを書くだけのハンドルネーム……と軽い気持ちで選んだ名前でござんしたが、あらためて考えると、この「お夕」はなかなか重みがある名前でござんした。

この「お夕」から、紋次郎兄貴の長い悪女遍歴が始まるってわけでござんす。
願わくば、紋次郎兄貴から惚れられる女の名前を……と思いやしたが、ご承知のように見つけることはできやせん。
そして永遠に、見つける事はできなくなりやした。

因みに実物のあっしは、この「お夕」とは似ても似つかない人間でござんす。(実物のあっしなどには皆さん興味はねえと思いやすが……)
おっちょこちょいで、稀に見る方向音痴、かなりの不精者……小股の切れ上がった粋な年増には、絶対になれそうにありやせん。
ここで明かすまでもなく、およその見当は皆さんつけておられるとは思いやすが……。

それでは皆さん、今後ともよろしゅうお願いいたしやす。
御免なすって。

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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

なるほど、そういう経緯だったんですね。

・・・いい名前ですわ。

  • 20100122
  • マイタ ♦B2BsuZNw
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

お夕さん、こんばんわ。

九州は幾分春めいて来て、太宰府の飛梅開花のニュースも耳にしました。

ハンドルネームにはいろんな思い入れがありますね。2002年にPCデビュー以来使っていたのは愛犬ルナの愛称「るにゃ」からとった「runyanya」でした。

「木枯し紋次郎の風景」を続けられたのも、ブログを閉鎖しようかと考えていた時に(今だから告白できる!)お夕さんにコメントを頂いたからで、感謝しております。

私のささやかなこだわりは「お光」は紋次郎の姉。「おみつ」は全くの別人で、漢字とひらがなで区別している所です(笑)

姉とは言え、紋次郎が唯一思慕を抱く女性の名前をハンドルネームにし、多くの女性ファンに申し訳ない気分は未だに感じてます。

「お夕」も島送りになっていた間、朝な夕なに紋次郎の心の大部分を一人占めしていた女性の名前ですから、紋次郎ファンの間では心に残る名前ですね。




  • 20100122
  • おみつ ♦aiP0wTO2
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

マイタさま、コメントをいただきありがとうございます。
マイタさんのハンドルネームは、カワイイですね。(失礼ですか?すみません)
とても親しみが、わきます。

「お夕」を名乗っているときは、ちょっとかっこいいことを書いていますが、(そうでもないか?)実物は相当ズッコケな存在です。
今後ともよろしくお願いします。

  • 20100122
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

おみつさま、コメントをいただきありがとうございます。

勝手におみつさんのお名前を出しまして、申し訳ありません。

おみつさんのブログに出会って、私の紋次郎熱も一挙にヒートアップしました。
ありがとうございました。

まさか自分がブログまで開設するなんて、思いもよりませんでした。
好きなことに夢中になれるのは、本当に幸せなことです。

そんなきっかけを与えてくださったおみつさんには感謝、感謝です。

これからも、いろいろお教えくださいね。

  • 20100122
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

お夕さまのハンドルネームには
そんないわれがあったのですね。

夕陽の夕、夕顔の夕。
儚げで、なのに芯の強さを感じる美しい字ですね。
お夕さまはきっとそんな人♪

  • 20100122
  • ナラリーノ ♦SJMMuUIM
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

ナラリーノさま、コメントをいただきありがとうございます。

そう言えば、朝焼けより夕焼け、夜明けより夕暮れの方に心が惹かれる質ですね。
が、しかし……ナラリーノさんのご想像は、
大きく外れております。

申し訳ございません。

  • 20100122
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

お夕さん、こんばんわ。
ききょうが綺麗ですね。( ^-^)

お夕さんは紋次郎さんにとって曰く付きの女性だった訳ですね。でもそうやって覚えていてもらえるって幸せなことなのかも・・。( ^-^)

今日お邪魔したのは、実はテレビを見ていて
「ラストサムライ」の撮影の時トムクルーズがとりこになったバウムクーヘンというのが出てきて、ひょっとしてお夕さんゆかりの会社のだったのかしら?と思いまして・・。

日本のお寺とは思いませんでした。てっきり中国かどこかのお寺とばかり思ってました。あんなに境内の縁側とかが広い立派なお寺でしたので・・。

「千本杉」という名前の付いた立派なバウムクーヘンでしたよ。甲乙つけがたいくらいに美味しそうでした。( ^-^)

Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

九子さま、コメントをいただきありがとうございます。

姫路の書寫山圓教寺ですね。
私の親戚がこの近くにおりますが、まだ訪れたことはありません。
この地の「千本杉」から名前をつけたバウムクーヘンだとか……。
各地にはそれぞれ、ご自慢のバウムクーヘンがあるんですね。
私も是非、味わいたいです。

因みに私がちょこっと関係するバウムクーヘンは、「松田聖子さん」がお勧めのモノだということです。

  • 20100123
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

お夕さん、お久しぶりです。
ハンドルネームの件、意味深く拝読致しました。
おおよその検討はついておりましたがと云うと、とても失礼なのですが、実の姉のお光という存在は別格として、全小説中
お夕という女性は紋次郎にとって特別な存在であるのは
疑いようもなく、唯一の想い焦がれた女性でもありますし、
裏切りの方程式を紋次郎に植えつけたのもお夕という裏腹な
存在意識があてのない旅へと導かしているのでは・・・
と思うのです。
随分と和田夏十さん作詞の「だれかか風の中で」に「存在」する
「待っている」のは、姉お光のことだと思い込んでおりました。
もしくはお志乃違いのお志乃とも思いましたが
実はお夕の「存在」ではと思う様になりました。
亡き者を想う「存在」意識であるのか、生きている証として
「存在」を意識し道中をさまようのか、それが紋次郎の
唯一の希望なのだろうかとも考えてしまいます。
お察しの通り、私は鬼首峠に全てを投げ捨てた鳴神の伊三郎を
ハンドルネームに頂戴しております。
伊三郎もまた紋次郎と同じ様に姉お里に想いを抱き敵討ちの旅を
続けていたのですが「渡世人は、親兄弟に縁を持たねえ」と
義理人情を優先し姉の「存在」も棄ててしまいました・・・
あっ、お伝ちゃんのことですか!?
その噂は随分後から聞いております。
ごめんなすって・・・

  • 20100124
  • 鳴神の伊三郎 ♦d58XZKa6
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

伊三郎さま、コメントをいただきありがとうございます。
伊三郎さんのご指摘で、また「お夕」への思いを新たにしています。

紋次郎は、自分のために命を捨てた(と思っていた)「お夕」のために、毎朝海に向かって手を合わします。
島にいる間はずっと、それが心の重荷になっていたわけですが、その後お夕は生きていた
という事実を知り、裏切りに愕然とします。

お夕に再会して「赦免花は散ったんでござんすよ」と言い捨て、紋次郎は新しい自分になったような気がします。
赦免花は紋次郎にとって、二人の「お夕」だったのでしょうか。

「裏切られた」という心の傷と、「自分のためにお夕が命を落とした」という心の重荷……
どちらも酷い状態でしょうが、前者の方が幾分救われるかな?とも思います。

紋次郎は上記のセリフを口にして、今までの自分を捨て去ることができました。
お夕が死んでいたら、多分ずっと影を引きずっていたでしょうが……。

また、皆さんのご意見をお聞きしたいものです。

伊三郎さんのお名前も、なかなか渋くていいですね。
笹沢さんは、たくさんの人物に名前を付けられていますが、考えるのは大変だったでしょうね。(選ぶための資料・文献はお持ちだったようですが)

お伝ちゃん、幼いながら「栴檀は双葉より芳し」でしたね。

  • 20100124
  • お夕 ♦wikz35BA
  • URL
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Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

お夕さん、こんばんは。お夕さんのハンドルネーム深いですね。愛情の反対は憎しみでなくて無関心、敵も味方の反対じゃなく縁ある人ですよね。「空手バカ一代」のエンディングテーマに「己と敵とに虹かけて」というのがありますが、敵こそ自分をいちばん成長させてくれる人だともいいます。辛口の関係はある意味素敵ですよね。私の八朔なんぞ、ただ、八朔がほどよい酸味にしっかりした歯ごたえの硬派のみかんで好物というだけですから、実に単純です。

Re: 日々紋次郎「『お夕』の訳」

八朔さま、コメントをいただきありがとうございます。
「お夕」についてみなさん、いろいろな思いを持っておられるようで、私自身も思いが深められました。
ありがとうございます。
辛口の関係……そうですね、イエスマンだけでは成長がないと言われていますものね。

八朔さんのハンドルネームから、8月1日に何かご関係があるのかと思いましたが、お誕生日でもないんですね。
甘めの柑橘類でなく、キリッとした爽やかな酸味……八朔さんのお人柄も、想像してしまいます。
これからもよろしくお願いしますね。

  • 20100125
  • お夕 ♦wikz35BA
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