紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎「紋次郎喰い」

日々紋次郎「紋次郎喰い」

日々紋次郎「紋次郎喰い」

だれが名付けたのか、あっしの頭の中にはこの言い方がインプットされておりやす。
ごひいきの方ならみなさんご存知の、掻っ込み飯といいやすか、紋次郎兄貴独特の食事の作法でござんす。
当時は行儀が悪いとか言われて、PTAの大年増の方々から直訴があったかもしれやせんが、一度はみなさんも真似をなすったんじゃあござんせんか?
そういうあっしの朝飯は、ここ最近いつもこの作法に則っておりやす。
もっとも「タクアンと干し魚トッピング汁ぶっかけ」じゃなくて、いわゆる茶漬けでござんすので、紋次郎兄貴よりシンプルではござんすが……。

兄貴は行儀作法が悪いんじゃあござんせん。その証拠に、きちんと食べなすった映像もございやす。とにかく先を急ぐ時は決まってこの食べ方なんでござんす。
ではなぜ、旅を急ぐのか?
ひと処に留まることの危険性があるからでござんす。
兄貴の旅はあてのねぇ旅でござんすが、いつも急いでおりやす。癖と言えばそれまでではござんすが、その土地で長居をしても碌なことはござんせん。その土地その土地には、きっと関わりたくねぇ貸元や企みのある輩がいるのに違いござんせん。
できるだけ関わりを持ちたくねぇ、という紋次郎兄貴の哲学なのかもしれやせん。

それと紋次郎兄貴の過去の境遇でござんす。
言わずとしれた劣悪な環境のもとで、兄貴は幼少時を過ごしやした。貧困、飢餓の中「間引き」が貧しい農村地域では行われていたご時世、兄貴は間引きを免れ生き長らえることができやした。
姉お光の機転のおかげでござんす。
免れたとは言え、貧しさには変わりなく、口に出来る物なら何でも食べたに違いござんせん。小説内にもござんしたが、とにかく味わうなどと悠長なことは言ってられねぇ子ども時代だったんでござんす。

口に入ったらとにかくすぐに飲み込む。いつ誰に、かすめ取られるかわかりやせん。
「三つ子の魂百まで」のことわざ通り、その境遇が影を落としているのかもしれやせん。

日々紋次郎「紋次郎喰い」

原作での紋次郎兄貴は、「川留めの水は濁った」で鞠子の名物「とろろ汁」を食べておりやす。
茶屋としか書かれておりやせんが、鞠子(丸子)には今も「丁子屋」さんという、とろろ汁を食べさせてくれる有名な店があると聞いておりやす。
弥次さん、喜多さんもこの地で、とろろ汁屋に入ったとの記述があり、広重が描いた茶屋もこの店がモデルではねぇかと言われておりやす。
当時、十数軒ものとろろ汁屋が建ち並んでいたということでござんすから、紋次郎兄貴が立ち寄った店がどれかは知るよしもございやせん。

天明年間、当時の鞠子のとろろ汁は一椀二十文で、青海苔や唐辛子の粉が入った小さな箱とおひたしを盛った皿が添えられていた、と資料にはありやす。
味噌仕立てで、旨いものとして知られていた、とのことでござんす。
紋次郎兄貴も舌鼓を打たれたこととは思いやすが、味わった様子は原作には書かれておりやせん。

しかしながら、紋次郎兄貴はいつも「腹八分目」を心がけておいでです。
腹一杯食べて手前の腹を甘やかすと、本当の空腹になったとき持ちこたえられねぇということなんで……。
飢餓状態にも耐えうる腹八分目を旨とするなんて、飽食の時代に生きるあっしらには真似できやせん。
兄貴は腹にまで「甘ったれちゃぁいけやせん」主義を貫きやす。さすがでござんす。

あっしなんぞは「バイキング」や「食べ放題」の看板に誘われるようにフラフラ入り、結局食べ過ぎて自己嫌悪に陥ることの繰り返し。
見習わねぇといけやせんねぇ。

へい、御免なすって。

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この記事へのコメント

Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

私も生まれてこの方、ずーっと「掻っ込み飯」ですよ。何でだかよく分かりません。
9人家族に育ったせいか、歯が頑丈だからなのか?「紋次郎喰い」です。
安物の飯であれ高価な和食のコースであれ、です。
後者は、あっしが下戸なのも関係しておりやす(笑)。

>兄貴は行儀作法が悪いんじゃあござんせん。

私もいっしょです(笑)。古いしきたりにのっとっての食べ方はできやせんが、人はあっしの礼にはいつも感心しなさる。

鞠子って国語辞典で調べやしたよ。ないから鞠を引いてもでてきやせん。ネットだと人の名前ばかり、よくよく見つめているとウイキペディアに鞠子宿がありやした!(笑)

あっしも精をつけるつもりもありやしめせんが「とろろ汁」は大好物でござんす。青海苔や唐辛子の粉が入った小さな箱とおひたしを盛った皿が添えられていた飯いただてみとうござんす。

「腹八分目」を心得えておられたとは、我々や欧米社会の模範でもありやすね。

おっと、名をお夕とお名乗りなら「バイキング」や「食べ放題」はお似合いじゃござんせんぜ(笑)

筆遣い、言い回しに可笑しな所がありやしたら、添削をおたの申しあげやす。

では、バイなら。

Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

お夕さま、こんばんは。

「丁子屋」さんのとろろ、食べたことがありやす。
紋次郎兄貴も召し上がったのでござんすね。

ずいぶん前のことなので記憶もおぼろですが
ヤマトイモではなくジネンジョを使用、
たしかみそ汁仕立て。
私が知っていた「とろろ汁」よりも
風味も色合いも濃いものだったように思います!

  • 20100425
  • ナラリーノ ♦SJMMuUIM
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Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

小父貴の旦那、楽しいコメントをいただきやしてありがとうござんす。

きちんとした作法で食する美しさも、大切ではござんすが、やはり空腹を満たすのが一番基本でござんしょう。

紋次郎兄貴の一気に掻っ込む姿には、生きる力強さを感じやす。
そして異性の目から見やすと、とてもセクシーなんでござんすよ、これが……。

同性の小父貴の旦那からは、どう見えるんでござんしょうか?

最近、ガツガツ、モリモリ……気持ちよく食べる子どもが少ねぇように感じやす。
そういう子を見てやすと、「生きる力」が弱ぇんじゃねぇかと心配でござんす。
多分、空腹ってぇもんを、経験したことがねぇんでしょうねぇ。

「お夕」とは名乗っておりやすが、先ほど変換したら「お雄」となり、ちょいとドキッといたしやした。
どちらかと言いやすと内面に、「オッサン」が少なからず入っているのかもしれやせん(恐)。

ということで、ガッツリ食べる方でござんすよ。申し訳ござんせんが(苦笑)……。

これからは、人前ではちょいと慎むようにはいたしやす。

  • 20100425
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

ナラリーノさま、コメントをいただきありがとうござんす。

「丁子屋」さんをご存知なんで?
調べやすと仰るとおり、「自然薯」だということでござんす。
「味噌仕立て」と言うのは、味わったことがござんせんが、美味なんでござんしょうねぇ。
「自然薯」は精がつくと言いやすから、とろろ汁一杯で12~13里ぐらい、一気に歩けるかも知れやせん(笑)。

先日テレビでも、このお店が紹介されておりやした。
「名物にうまい物なし」
とか言われやすが、ここはそれには当てはまらねえんでしょうねぇ。
機会があれば、是非味わいてぇもんでござんす。

  • 20100425
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

お邪魔いたしやす。

紋次郎喰いは何度も挑戦しましたが
一度も成功してません。つまったりひっかかったり。
腹痛おこしたこともあります。
元々、給食でも最後に終わるような遅食いなもので。

あのシーンの撮影で中村氏は一発OKだったのでしょうか?
だとしたら大したもんです。

良い子はくれぐれも真似しねえでおくんなせえ。

Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

桐風庵の兄貴、コメントをいただきありがとうござんす。

敦夫さん、実はあのシーン、かなり苦痛だったようでござんすよ。
どこかで、そんなことを読んだ記憶がござんす。

ドラマの中で食事するシーンってのは、普通でも難しいと聞いておりやすが、「紋次郎喰い」は別格でござんしたでしょうねぇ。

桐風庵さんのブログによりやすと、最短記録は「流れ舟は……」でござんしょうか?

あっしは、「獣道に……」で太吉を振り切るため、食べ終わってすぐに店を飛び出るシーンが印象に残っておりやす。
あのときの太吉の慌てぶりも、面白いもんでござんした。

食べるシーンだけでも、色々語りあえるなんて、やはり話題性があったドラマでござんしたねぇ。

  • 20100426
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」


先日笹沢さんの「新木枯らし紋次郎」の映画をちょっと見ました。ひどい育ちの一本刀も
剣法なしで一付きは鮮やかさは痛快でした.お夕さんは出なかったのが残念でした。!

  • 20100429
  • 荒野鷹虎 ♦-
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Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

鷹虎さま、コメントをいただきありがとうござんす。

「新・木枯し紋次郎」の殺陣は、「木枯し紋次郎」シリーズよりスタイリッシュだと言われておりやすが、いかがでござんしょう?
味わいも大分違うように思いやす。
菅原紋次郎さんの映画でのお夕役「江波杏子さん」は、「新……」シリーズでは「二度と拝めぬ三日月」に出演されておりやした。
粋な姐さんでしたねぇ。

  • 20100429
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

無宿渡世人・・・一言で言うとやくざみたいなものなんでしょう
完全懲悪でも、目の前に困ってる人を助ける善人でもない
「あっしには関わりのねぇこって」と、目の前で困ってる人を捨て置く事さえも厭わない
そんな紋次郎をなぜか大好きになってしまった
何なんだろうかと、思ってみたら、僕の理想の生き方なんだと結論が出ました
誰に縛られるわけでもない、誰を縛るわけでもない
自由に生きる
そんな紋次郎が、カッコいいのです
食事もまるで水でも飲むように瞬く間に食べてしまうのが印象ですね
[゜д゜]<キョウ ハ タビヲ ヒトリ

  • 20101127
  • 折れ線 ♦t1BdmKME
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Re: 日々紋次郎「紋次郎喰い」

折れ線さま、コメントをいただきありがとうございます。

職場、家族、近所づきあい……生きていく上での諸々のしがらみから、解放されたくなることは多々あります。

小説内だけでも、紋次郎に自分を重ねたくなるお気持ち、よくわかります。

またよければ、お出でくださいね。

  • 20101127
  • お夕 ♦wikz35BA
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