紋次郎気質

1972年、一世を風靡した中村敦夫演じる木枯し紋次郎。笹沢氏が生み出した紋次郎とを比較しながら、紋次郎の魅力に迫ります。

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日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」
紋次郎兄貴のような無宿の流れ渡世人は何を収入にしていたのか。
ドラマを観ているだけではわかりやせんので、疑問を持たれる方もおいでかと思いやす。

兄貴の場合は限られておりやして「博奕」でござんす。賭場は大きいものから小博奕まで、当時かなりの数が身近に開かれておりやした。
よく兄貴が道中しておりやすと、その土地のヤクザ者が「どうぞ寄っていっておくんなさい」と声をかけることがござんすが、その土地の貸元がしきっておりやす。
賭場には家屋内と野天があったようで、その規模によって動く金も違いやす。
祭礼や貸元の慶弔のときなどは、かなり大規模な賭場が開かれたようでござんす。

賭場で儲けるというのは、不確実なものでござんすので、定収入は望めやせん。笹沢氏によりやすと三度に一度勝てればいいほうだということでござんす。
笹沢氏の著書「紋次郎の独白」から引用いたしやす。

「勝っても大儲けするということも、まずあり得なかった。紋次郎のような玄人になると、勝負に熱くなるということがない。この賭場ではメが出ないと判断すれば、数日間の食費を残してあっさりと手を引く。
メが出たときも、それとばかりに悪乗りしたりはしない。適当に勝ったところで気前よく貸元や若い者たちに心付けをはずみ、残った儲けを手にして引き揚げる。そのときの儲けが、五両程度と考えていいだろう。」

五両というと現代に換算するとどのくらいになりやすか……。30~40万円ぐらいでござんしょうか。
天保年間で、二百石どりの武士の月収ということでござんすから、かなりの大金でござんす。

出費といえば草鞋を買う、あとは食費。旅籠にはほとんど泊まりやせんし、交通費もいりやせん。三度笠も合羽も、あの様子でござんすから、そう何回も買い換えているとも思えやせん。
風呂も縁がなく、川の水で身体を洗う。洗濯は雨に濡れた着物を絞って乾かす。

食費と言いやしても、最低限のものしか口にしやせんし、一日二食でござんす。金が少なくなったら、干し芋や煮干し、かき餅をかじり水を飲む。本当に質素な生活でござんすから五両もあればかなり長い間、食いつなぐことができやす。

日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

あっしは「ギャンブル」には、とんと興味がねえんでござんすが、今の世の中「ギャンブル」だけで食っていけるんでござんしょうか。「パチンコ」「競馬」「競輪」「競艇」……
たくさんありやすが、どうなんでござんしょう。
紋次郎兄貴のような質素な生活も、現代人は無理だし、我慢できねえかと思いやす。

兄貴は貸元のところに草鞋を脱ぐことはほとんどありやせんが、出立するとき受け取る草鞋銭というのも収入源でござんす。この草鞋銭は渡世人の貫禄によって決まりやす。
忠治親分級で数十両といいやすが、紋次郎兄貴ならどのくらいになるんでござんしょう。
12~13両にはなるんじゃねえでしょうか。

大変希有なことではござんすが、紋次郎兄貴が川の仮橋作りの人足として、一日百文で働くという話が「人斬りに紋日は暮れた」にござんす。
一日中冷たい川の中に入って百文でござんすからねぇ。あんまり割のいい話ではござんせん。

ちなみにこの話の中で、紋次郎兄貴は「人斬り」を五十両で頼まれやす。実際兄貴は「人斬り」はいたしやせんでしたが、「殺し屋」がもし稼業としてあるなら、腕の立つ渡世人なら収入源でござんしたでしょうねぇ。

とにかく紋次郎兄貴は必要以上に金を持ちやせんし、執着心もござんせん。
削ぎ落とされたストイックな生活でござんす。
「足ることを知る」……「知足」の精神を貫くところなんざ、現代人も見習うところがあるかもしれやせん。

へい、御免なすって。

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Re: 日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

一番上の写真のアングルや色合いはいいですね。
家の中に木があるんでしょうか?
なんだか映画の中のワンシーンのようです。

ところで紋次郎の生き方はある意味で修業僧をもイメージします。
人間自分の欲を抑えるという生き方はなかなか難しいものだと思います。
紋次郎はん、悟りの境地に近かったんでしょうかね。
修業僧は博奕はやりませんね。

私もとんと博才がなく勝負ごとがまるでダメなんですが、
競馬をよくやる人間を知っています。
彼は会社員ですが、日本全国の競馬場めぐりをやっています。

時々大きなお金を手にして勝ち続けることもあるようですが、
それ以上に負け続けることが多いようですね。
とても手堅く、他に趣味なしという感じですが、
どうも元手がある者だけの遊びのようです。
よって、ギャンブルで食うことは無理に感じます。

そこにいくと、紋次郎は貯金をだいたい持ち歩いて
いたんですね。
人斬りが五十両か!当時はそれで生計を立てていた者もいるんでしょうね。

渡世人も含めて畜生のような無縁仏も山とあったんでしょう。

穀物が収納されていそうな、下の蔵の写真も交えて過ぎ去った
遠い時代にタイムスリップしたようです。

Re: 日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

お夕さま、こんばんは。

勝負に熱くならない、買ったときは心付けを…
玄人のたしなみのようなものを感じる、粋なエピソードですね。
余分なものを削ぎ落とした生活って憧れます。
もちろん、私はすぐに根を上げてしまうはずですが
だから余計に美しいなと思います!

  • 20100525
  • ナラリーノ ♦SJMMuUIM
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Re: 日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

小父貴さま、コメントをいただきありがとうございます。

紋次郎の生き方を修行僧と重ねるなんて、さすがのご見識……。
すべてを削ぎ落とした姿は、修行僧そのものですね。

やはりギャンブルで生計を立てるのは、難しいんでしょうね。
勝ったという話は声を大にして口にされるでしょうが、差し引きすれば負けの方が多いと思います。

博奕については文献を読んでもなかなか複雑で、未だに飲み込めません。
(別にわからなくてもいいんですが)

どこの高札場でも博奕禁止の触書があるくらい、博奕は庶民の中にかなりはびこっていたようです。

娯楽での手慰みではなく、生活がかかってくるとなると、「鉄火場」といわれるほどの熱の入れようだったでしょうね。

素人は、手を出さねぇほうがよござんしょう。

  • 20100526
  • お夕 ♦wikz35BA
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  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

ナラリーノさま、コメントをいただきありがとうございます。

私もスタイルは元より、生活もダイエットできず、トホホの毎日です。
物に埋もれての生活に、いい加減おサラバしないといけないんですが……。

「明日やる、明日やる」と思いつつ、何年も経ってしまいました。

おかげで、何をやるにも「探す」ことから始めないといけない始末です。

「人生半分、探し物」です(笑)。

  • 20100526
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

「足りている」という事に気付かないといませんねえ・・・。
よくよく考えたら、余分なものを持つということは無駄が多いという事で。そこから邪心も生まれる気がします。
そ、だなあ・・・。うん。

ちょっとかんがえました。美しい写真を見ながら。

  • 20100606
  • てのりぱんだ ♦C/Rcg83E
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Re: 日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

ぱんださま、コメントをいただきありがとうございます。

各自「足る」の基準が違うので、人と比べることは出来ませんが、明らかに物が多すぎるのは確かです。

と言いつつ、今日もまた不要な(多分)物を買ってきてしまいました……反省。

なかなか実践は難しいですね。

  • 20100606
  • お夕 ♦wikz35BA
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Re: 日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

お夕さん、1年半もめえの記事にコメントすることを、許してやっておくんなせえ。

「丁半」のサイコロで、本当に生計が成り立っていたのかということを考えてます。
勝ち逃げしたところで、試行回数を増やしているうちに、いつかは勝率50パーセントの確率通りに収束し、チャラになるわけです。
また、勝って帰る時は、儲けの一部を「これで若ぇ衆で一杯やっておくんなさい。」と返すのですから、トータルではマイナスになるように思えるのです。

ですから江戸時代の渡世人は、草鞋銭や、金を貰っての人殺しなどに頼らざるを得なかったのではないでしょうか。
紋次郎は貸元の所に殆ど立ち寄らないから、ごくまれな草鞋銭を大事に使っていたのでしょうね。

10年以上前、紋次郎がパチンコになりました。
http://777.nifty.com/cs/catalog/777_780/catalog_crkogarasimonjiro_1.htm
私は新装開店に行って打って来ました。
実写紋次郎が液晶画面に浮かび上がったり、その前を、発泡スチロール球の吹雪が舞ったり。
大当たりには、インストゥルメンタルの「誰かが風の中で」が流れました。
http://777.nifty.com/cs/catalog/777_778/reach/sel_1/srcd_crkogarasimonjiro/srt_priority/1.htm

が、アニメで出てくる紋次郎は、若くて頬の傷も無く、これを紋次郎と呼ぶには問題がありすぎました。
まあ、勝ったから許しますが(笑)

  • 20120222
  • TOKI ♦nhNJg39g
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  • 編集 ]
Re: 日々紋次郎「紋次郎兄貴の生業」

TOKIさま、コメントをいただきありがとうございます。

古い記事まで読んでいただきやして、お礼申し上げやす。

非生産者である無宿の渡世人が、生き抜く術である博奕……しかし、どう転んでも絶対に、胴元が儲けるようにできています。
これは、どの時代でも変わらないでしょうね。合法的でも、非合法的でも同じことでしょう。

博奕にのめり込んで、身を持ち崩す者が続出した江戸時代。
「それ百姓の驕りと言うは、第一博奕なり」
「ただ博奕のみ多く人に害をなす物なり」
「そもそも盗賊の本地は博奕にして、博奕の垂迹はまた盗賊なり」
と博奕の害を力説するぐらいですから、かなり民間にもはびこっていたようです。

そんな中で、博奕だけで生計を立てるのは至難の業でしょう。
一宿一飯での草鞋銭稼ぎであっても、運悪く「喧嘩(でいり)」の要員にされ、危険に身をさらすのも損な話ではありますし……。

パチンコは、ほとんどやったことがありませんが、この台ならやってみたいですね。今はもう、ないんですか?
「紋次郎」の版権は、どういう仕組みになっているんでしょうか?
敦夫さんには一銭も入らないんでしょうか(笑)。

  • 20120222
  • お夕 ♦wikz35BA
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